臨床血液
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Symposium 10
AYA世代の急性骨髄性白血病 —内科の立場から—
鍬塚 八千代
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2017 年 58 巻 8 号 p. 1047-1052

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抄録

思春期・若年成人(AYA)世代の急性骨髄性白血病(AML)の生存率は,小児と比較して同等あるいは不良と報告されている。急性リンパ性白血病とは異なり,AYA世代のAMLに対して治療強度が高い小児レジメンの成績が勝るとのエビデンスは示されていない。近年AMLに関与する遺伝子異常と予後との関連が明らかになってきており,遺伝子変異を加味した予後層別化システムが提唱されている。小児と成人における遺伝子変異の頻度は異なるがAYA世代での検討は今後の課題である。AYA世代のがんではがんの生物学的特性以外にも治療コンプライアンスの低下などが治療成績に影響を与えるとされる。心理社会的ケア,小児診療施設からの移行,サバイバーシップにおける妊孕性に関わる対応などにおいてもAYA世代特有の配慮が望まれるが,AYA世代の特殊性を十分配慮したサポートの提供は成人診療施設における今後の課題である。

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© 2017 一般社団法人 日本血液学会
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