2018 年 59 巻 12 号 p. 2555-2560
症例は24歳男性。T-ALL(acute lymphoblastic leukemia)に対してJapan Adult Leukemia Study Group(JALSG)ALL202-Uに沿った寛解導入療法中L-asparaginase(L-asp)6回目の投与後に重症高triglyceride(TG)血症(4,132 mg/dl)を認めた。リポ蛋白解析では膵炎発症リスクの少ないIV型高脂血症であった。L-aspによる薬剤性高TG血症と考え,L-asp投与を中止し,脂肪制限食にしたところ,速やかに改善した。膵炎,血栓症などの合併症は発症しなかった。再寛解導入時にもL-aspを投与し以降も安全に投与を継続できた。成人においてL-aspによる重症高TG血症を発症した症例報告はこれまで4例あり,いずれも再投与の記載はなく,本症例が成人における初の報告と考えられる。L-asp継続の安全性の評価のために同様の再投与症例の蓄積が必要と考えられた。