臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
Symposium 8
本邦におけるDiamond-Blackfan貧血の診断的ターゲットおよびエクソームシーケンス解析
土岐 力伊藤 悦朗
著者情報
ジャーナル 認証あり

2018 年 59 巻 7 号 p. 945-952

詳細
抄録

ダイヤモンド・ブラックファン貧血(DBA)は,幼児期にみとめられる,まれな先天性骨髄不全症候群のひとつである。末梢血においては正常色素性大球性貧血と著しい網状赤血球減少症がみとめられ,正形成性の骨髄においては赤血球前駆細胞の選択的減少がみとめられる。DBA患者の約半数においては成長遅滞や,主に頭蓋・顔面部の奇形および,上肢,泌尿・生殖器および先天性心異常などの様々な先天性異常が認められる。DBA症例の約60%においては,リボソームタンパク質をコードする遺伝子のヘテロ接合突然変異が検出され,変異により機能喪失が引き起こされる。同定された原因遺伝子の大部分がRP遺伝子に属するという事実は,この疾患がリボソーム生合成の障害によって引き起こされることを示唆している。本稿では,DBAおよびエクソーム解析によって単離された新規原因遺伝子RPS15Aの分子病理を概説する。

著者関連情報
© 2018 一般社団法人 日本血液学会
前の記事 次の記事
feedback
Top