臨床血液
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症例報告
稽留流産後のeculizumab導入により速やかに妊娠・出産できた発作性夜間ヘモグロビン尿症
筒井 深雪後藤 明彦小松 則夫
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2019 年 60 巻 4 号 p. 281-285

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抄録

発作性夜間ヘモグロビン尿症(paroxysmal nocturnal hemoglobinuria, PNH)合併妊娠では溶血の増悪に伴う血栓症のリスクが高く,母体死亡,流産,未熟児の頻度も高い。Eculizumabは妊娠合併症のリスクを軽減させることが報告されてきており,特発性造血障害に関する調査研究班による「PNH妊娠の参照ガイド」では非導入例は妊娠初期以後のeculizumabの導入が,既に導入されている場合はその継続が推奨されている。今回,輸血非依存だが時に溶血発作を認める31歳女性のPNH患者に対し,稽留流産後にeculizumabを導入したところ,自然妊娠が速やかに成立した。妊娠中,溶血発作や血栓症などの合併症は認めず,抗凝固薬の併用をせずに安全に出産でき胎児も正常であった。産褥期は血栓のリスクが高いため,分娩後6週間ヘパリン投与を行ったが,産褥期も合併症を認めなかった。PNHは希少疾患でありその中でも妊娠出産例はさらに少ない。今後も症例を蓄積し,参照ガイドの整合性を検証していくことが重要である。

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© 2019 一般社団法人 日本血液学会
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