2019 年 60 巻 5 号 p. 447-452
ホジキンリンパ腫は従来Hodgkin/Reed-Sternberg(H/RS)細胞におけるCD30の高発現とNF-κBシグナルの異常な活性化により特徴づけられ,これらを標的とする治療が模索されてきた。その一方,ホジキンリンパ腫組織においてはH/RS細胞とその周囲の大多数を占める免疫細胞により独特の炎症性・免疫抑制性の微小環境が形成されていることが知られ,その免疫状態を改変する方法についても研究が続けられてきた。近年CD30を標的とした抗体薬物複合体と免疫チェックポイント阻害薬が相次いで登場し,難治性ホジキンリンパ腫の予後は大幅に改善が認められている。さらに,それらの新規治療薬の奏効するメカニズムを足掛かりとして,PD-1シグナルおよびJAK/STATシグナルを中心に,本疾患の分子病態の理解が急速に進んでいる。