臨床血液
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症例報告
慢性リンパ性白血病の経過中に発症したマントル細胞リンパ腫
佐賀 智之石原 敏道伊藤 真理子鹿野 哲金川 実千代
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2020 年 61 巻 3 号 p. 251-256

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抄録

Richter症候群(RS)は慢性リンパ性白血病(CLL)にアグレッシブリンパ腫を発症したものと定義されている。多くはもとのCLLクローンと関連のあるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫例である。我々は,CLLの経過中に発症したマントル細胞リンパ腫(MCL)を経験した。72歳男性。CLLの診断で16年前から経過観察されていた。2年前に自己免疫性溶血性貧血を合併し,rituximab+prednisoloneで軽快した。今回,発熱,腹部膨満感,倦怠感を訴え,LDH上昇を伴うリンパ球増加と脾腫の進行を認め,RSが疑われた。骨髄検査で小型~中型リンパ球増加を認め,CD5+, CD20+, CCND1+, SOX11+, CD23−, LEF1−であり,FISHでIgH-CCND1融合が陽性で,MCLと診断した。もとのCLLとMCLとで異なるIgH遺伝子再構成バンド(Southern blot法)を示した。CLLの再発や進行に際してはMCLの発症を考慮すべきである。

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© 2020 一般社団法人 日本血液学会
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