臨床血液
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臨床研究
院内感染として発症した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後方視的解析
—血液疾患と他の疾患との比較—
内田 智之髙木 祐希水野 晃宏岡村 駿斎藤 宏紀井手 史朗大原 慎井上 盛浩萩原 政夫
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2020 年 61 巻 8 号 p. 857-864

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抄録

当院で院内感染として新型コロナウイルス感染症を発症した血液疾患40例と他疾患57例を後方視的に解析した。生存例については60日までを解析期間とした。血液疾患21例(52.5%),他疾患20例(35.1%)の死亡が確認された。血液疾患症例においては高頻度にファビピラビルが使用(21例(52.5%)vs 15例(26.3%),P<0.05)されていたにもかかわらず,生存期間中央値は29日で,全生存率が不良な傾向であった(P=0.078)。血液疾患症例では酸素投与が開始後,急激に呼吸状態が悪化し死に至るもしくは人工呼吸器管理を要する状態に至るまでの日数が有意に短い結果が示された(中央値5日(範囲1~17日),10日(1~24日),P<0.05)。入院中の血液疾患症例が新型コロナウイルス感染症を発症すると極めて短期間に重症化し致死的となる可能性が示唆された。

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© 2020 一般社団法人 日本血液学会
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