2021 年 62 巻 1 号 p. 25-29
44歳,女性。左鼠径リンパ節の生検にてanaplastic lymphoma kinase(ALK)陽性未分化大細胞型リンパ腫(anaplastic large cell lymphoma, ALCL)と診断された。節性病変に加え膀胱壁への浸潤を認め,臨床病期IVAと判断した。CHOP療法により完全奏効となったが,最後の化学療法から1年後,節性病変を伴わず,複数の皮膚病変で再発した。化学療法により第2完全奏効となり,自家末梢血幹細胞移植を施行した。移植2ヶ月後に再度,皮膚病変として再発し電子線治療を行ったが,他の部位にも複数の皮膚病変が出現した。しかし,これらの皮膚病変は自然消退し,現在自家末梢血幹細胞移植3.4年経過し,完全奏効を維持している。ALK陽性ALCLの皮膚限局再発例は節性病変再発例とは異なる経過をたどる可能性がある。症例の蓄積により皮膚限局再発例の特徴を明らかにする必要がある。