臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
症例報告
Ibrutinib治療中の難渋する爪囲炎・肉芽形成に対して硝酸銀法が有効であった慢性リンパ性白血病
佐藤 信恵湯田 淳一朗山内 寛彦葛目 亜弓中村 洋貴池 成基永田 啓人郭 永梅西澤 綾南 陽介
著者情報
ジャーナル 認証あり

2021 年 62 巻 1 号 p. 35-41

詳細
抄録

症例は72歳男性。2017年8月に白血球増多,貧血,リンパ節腫大を認め,慢性リンパ性白血病と診断されたが,治療開始基準を満たさず経過観察となった。2018年7月,17p deletion(del 17p)獲得に伴う病勢進行のためibrutinib(IBR)420 mg/日を開始し,一過性のリンパ球増多後に,部分奏効を得た。IBRは皮膚や爪を構成するケラチン間のジスルフィド結合の障害,off-target効果によるepidermal growth factor receptor阻害を介して爪囲炎・皮膚障害を誘発する。2019年2月に右第1趾に爪囲炎(grade 1)をきたしたが,gentamicin塗布では改善しなかった。同年7月,両側第1趾の肉芽形成・爪囲炎(grade 2)に対してテーピング処置・硝酸銀法による局所療法を実施して軽快した。これらの肉芽形成・爪囲炎に対するマネジメントにより,CLLに対してIBRを減量・休薬することなく継続し,良好に病勢コントロールできている。

著者関連情報
© 2021 一般社団法人 日本血液学会
前の記事 次の記事
feedback
Top