臨床血液
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症例報告
腫瘍崩壊症候群をきたした脳出血合併の慢性期慢性骨髄性白血病
小山 千草荒川 ゆうき池田 勇八青木 孝浩久保田 泰央磯部 清孝森 麻希子栗原 淳康 勝好
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2021 年 62 巻 5 号 p. 346-351

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抄録

症例は自閉症を合併している14歳男子。歩行障害と意識障害を主訴に受診した。白血球数は728,600/µlと著明な高値で,左頭頂部に脳出血を認め脳の正中偏位を伴っていた。骨髄穿刺で慢性期CMLと診断し,緊急で開頭血腫除去術を実施した後に白血球増多に対してrasburicaseを併用してhydroxyureaを投与したが,腫瘍崩壊症候群(TLS)を合併し入院2日目に死亡した。剖検ではCML以外に死因となるような重大病変は認めなかった。CMLの移行期や急性転化の際に脳出血を合併したという報告は比較的多く認めるが,慢性期に脳出血を合併した報告は少ない。慢性期CMLにTLSを合併することやDNA合成阻害薬であるhydroxyurea単剤の使用でTLSを合併することも稀である。慢性期CMLにおいて,診断時に白血球数が高値である場合にはhydroxyureaの単剤投与であってもTLSを合併し得ることを想定して治療を行う必要があり,特に脳出血を合併するような重症例においては慎重に治療を行うことが重要である。

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© 2021 一般社団法人 日本血液学会
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