臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
Symposium 4
血管内大細胞型B細胞リンパ腫研究の現状と今後の展望
島田 和之
著者情報
ジャーナル 認証あり

2021 年 62 巻 6 号 p. 631-640

詳細
抄録

血管内大細胞型B細胞リンパ腫は,全身臓器の細小血管内に腫瘍細胞が選択的に増殖する節外性B細胞リンパ腫の一型である。生検臓器より十分な腫瘍細胞を得られないことが,病態解明を妨げてきたが,異種移植マウスモデルや血漿遊離DNAを利用することにより,本病型が活性化B細胞型びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に類似する分子遺伝子学的特徴を持ち,免疫チェックポイント関連遺伝子に高率に異常を来すことが明らかとなってきた。治療面においては,rituximab併用化学療法による治療成績の向上と高い二次性中枢神経浸潤リスクを勘案した,R-CHOP療法に高用量methotrexate療法と髄腔内抗がん剤注射を組み合わせた治療を試験治療とする臨床第II相試験が行われ,同治療により良好な無増悪生存割合と低い二次性中枢神経浸潤累積発症割合が示された。病態に対する理解の深化と治療成績のさらなる向上が今後の課題である。

著者関連情報
© 2021 一般社団法人 日本血液学会
前の記事 次の記事
feedback
Top