2021 年 62 巻 8 号 p. 1094-1101
2000年に最初に,思春期・若年成人世代に対する小児型治療の有用性が後方視的解析で示唆されてから20年以上が経過した。この間,多くの前方視的解析が行われ,小児型治療の有用性が報告されたが,小児ALL治療の取り入れ方,適用の限界年齢はあるのかについて模索が続いている。この間,小児ALLの治療もMRDによる層別化を取り入れるなどして進歩し,今後そうした知見をどのように成人ALLの治療に取り入れていくのかは検討を要する。遺伝子解析技術の進歩によりBCR-ABL1-like ALLのような新しい病型が発見され,小児と成人ALLの生物学的特性の違いも明らかになりつつある。さらに,blinatumomab,inotuzumab ozogamicin(INO)などの,高い治療効果が期待される新規抗体薬が登場し,その有効な使用方法が模索されている。本稿ではこれらの研究の流れを解説し,本邦における今後の成人B-ALLの治療について考える。