臨床血液
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COVID-19パンデミック禍における造血器腫瘍の治療
萩原 政夫
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2021 年 62 巻 8 号 p. 1178-1185

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抄録

全世界的に血液疾患特に悪性疾患におけるCOVID-19は死亡率が極めて高いことが多数報告されている。当院における大規模院内感染においても,無症状者を除いた場合の生存率は血液疾患患者において明らかに不良であり,特に酸素投与が開始となってから死亡に至るまでの日数が中央値5日と急速な増悪を認めた。非悪性疾患ではprednisoloneによる初回治療中のITP 2例が,急速に進行する肺炎/呼吸不全で死亡した。悪性疾患では,寛解確認前やステロイドを含む化学療法施行例は高リスク群であり,リンパ系悪性疾患が骨髄系疾患との比較で死亡症例を多く認めた。また呼吸不全に対しては,副腎ステロイド投与が著効した症例を経験した。なおSARS-CoV-2 IgG抗体獲得に至らない症例においては再感染ないし再燃のリスクがあり得ることに注意が必要である。

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© 2021 一般社団法人 日本血液学会
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