臨床血液
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42 (EL-42)
適正な輸血療法と合併症
田野崎 隆二
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ジャーナル 認証あり

2021 年 62 巻 8 号 p. 1247-1255

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抄録

輸血療法は原則として不足した血液成分を補う補充療法であり,江戸時代から現在まで受け継がれてきた極めて基本的な治療法の一つである。輸血用血液製剤は,①無償提供(献血)の血液を原料とする,②生きた細胞であり保存により劣化する,③血液型が適合している必要がある,④品質が一様でなく重篤なアナフィラキシー反応などの副反応が起こり得る,⑤輸血感染症のリスクがある,⑥原料は献血によるものであり倫理的配慮が必要であるなど,通常の医薬品と異なり,使用に当たっては科学的な判断だけでなく,倫理的な配慮も必要である。このため,「特定生物由来製品」に指定されている。現在の血液製剤は極めて安全性が高くなったが,稀に致死的な合併症が起こり得ることを念頭に置き,薬機法と血液法の下に,リスクとデメリットを勘案して実施する必要がある。厚生労働省の「輸血療法の実施に関する指針」および「血液製剤の使用指針」は必読書である。

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© 2021 一般社団法人 日本血液学会
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