臨床血液
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症例報告
自己免疫性多発内分泌腺症1型に合併した赤芽球癆に対するalemtuzumabの有効性
佐藤 理亮篠 将広横山 和明石田 大貴平尾 理子鴨田 吉正飯塚 浩光木田 理子井元 清哉東條 有伸臼杵 憲祐
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2022 年 63 巻 3 号 p. 189-193

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抄録

症例は41歳女性。2歳の時に自己免疫性多発内分泌腺症候群1型(APS-1)と診断された。34歳時に高度な貧血が出現し,赤芽球癆とT細胞性大顆粒リンパ球性白血病の合併と考えられた。APS-1では胸腺髄質上皮細胞上のAIRE遺伝子の不活性型遺伝子変異が知られており,胸腺でのnegative selectionが障害されることで発生する自己免疫性T細胞により赤芽球癆を誘発していると考えられる。前医で複数の免疫抑制療法が長期にわたり施行された。長期の経過で寛解と増悪を繰り返していたが,40歳ごろより輸血依存となり当院に転院した。当院でalemtuzumabを投与したところ大顆粒リンパ球の消失と貧血の改善が得られた。APS-1合併の赤芽球癆へのalemtuzumabの有効性を示す貴重な症例として報告する。

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© 2022 一般社団法人 日本血液学会
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