2025 年 66 巻 5 号 p. 318-323
26歳男性。KMT2A遺伝子再構成を伴う急性骨髄性白血病に対してHLA一致血縁者間同種末梢血幹細胞移植を行い,完全寛解を維持していた。移植後day338に発熱や筋肉痛,CKの著明な上昇を認めた。薬剤性横紋筋融解症を疑い,被疑薬を中止するも改善なく,筋生検を行いgraft versus host disease(GVHD)関連筋炎の診断に至った。慢性GVHDに準じたprednisolone(PSL)による治療を開始したところ速やかに改善が得られ,PSL中止後も再燃なく良好に経過している。筋炎単独での慢性GVHDの発症は稀少であり,これまでGVHD関連筋炎に特異的な病理学的特徴がなく,他の筋炎との鑑別が困難とされていた。最近PD-1やHLA-DR発現が鑑別に有用と報告され,その知見は本症例のような他の慢性GVHD徴候がない筋炎の診断・治療にも役立てられた。