2026 年 67 巻 2 号 p. 130-141
慢性骨髄性白血病(CML)はBCR::ABL1融合遺伝子を原因とし,チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の登場により長期生存が可能となった。現在,日本ではimatinib(Glivec®),dasatinib(Sprycle®),nilotinib(Tasigna®),bosutinib(Bosulif®)に加え,STAMP阻害薬asciminib(Scemblix®)が初回治療に使用可能である。それぞれ効果や有害事象が異なり,治療選択には年齢,併存疾患,心血管リスク,妊孕性,服薬の利便性,経済性など多面的な因子を考慮する必要がある。近年は無治療寛解(TFR)の達成を目標とした戦略が進み,imatinib,dasatinibやnilotinibで多くの臨床試験が行われてきた。さらに,TKIの低用量や漸増法など忍容性を重視した治療の工夫が報告されている。今後は免疫学的背景の解明や新規分子標的薬の活用により,TFR維持率のさらなる改善も期待される。本稿では,主に慢性期CMLの初回治療薬選択に関する最新エビデンスと実臨床での考慮点を包括的に概説する。