2026 年 67 巻 5 号 p. 414-422
くすぶり型多発性骨髄腫(SMM)に対する現在の標準治療は無治療経過観察である。本邦では,daratumumabが高リスクSMM患者に投与可能となった。高リスクSMM患者には早期治療介入により臓器障害の出現を抑制できる一方,リスクの低い患者には過剰な毒性を与える可能性もあるため,治療により利益が得られる患者を同定することが重要である。これまで臨床バイオマーカーによるリスクモデルが開発されてきた。最近では腫瘍細胞や免疫微小環境の網羅的な遺伝子解析によってSMMの病態の理解が進んでおり,これらを組み合わせた新たなリスクモデルも開発されている。一方,リスクモデルに基づいた高リスクSMM患者を対象にした臨床試験が実施されている。早期治療介入の推奨にはMMへの進展遅延のみならずQOLやOSの改善といったエビデンスの集積が必要と考えられる。