抄録
ドイツ南西部バーデン・ヴュルテンベルク州において公的な所有にある森林で策定が義務づけられる定期経営計画に着目して、施業管理の仕組みのなかでのドイツの森林官が有する知識や技術の活かされ方とその特徴を明らかにした。定期経営計画の策定・管理には、複数の森林官が関与する。策定や評価の基礎となるのは当該森林の現地調査結果であるが、ガイドライン等を通じて共有される標準化された知識や技術も参照される。また、森林署の森林官がもつ現場での試行錯誤を通じて培われた経験知と地方森林管理局の計画官が有する最新の知見等といった個々の森林官に蓄積された知識や技術が示され、互いに影響を与え合いながら施業方針等が決められる。それが森林官のキャリアを通じて技術を高めていく仕組みともなっている。こうした個々の森林官に蓄積される現場ベースの知識の重視とキャリアを通じた技術育成の仕組みに特徴がみられることが明らかとなった。