本論文は『林業経済研究の論点─50年の歩みから─』(林業経済学会編、2006)を踏まえて、2006年1月から2016年12月までの間に発行された『林業経済』および『林業経済研究』を中心に取り上げ、インドネシアを対象とした林業経済研究に関する論文のレビューを行い、①インドネシアの林業・林政、②インドネシアの林産業、③森林減少と地域社会、④アグロフォレストリー、⑤コモンズ論、⑥国立公園の6つの観点から動向を整理した。その結果、各々の分野で主にフィールドワークを用いた事例研究が展開していることを確認するとともに、近年「気候変動」や「森林・泥炭地火災」といった新たな研究課題が現れていることを明らかにした。今後の展望として、フィールドワークを通じて事例研究を蓄積しながら海外地域研究としての深化を図るとともに、蓄積された事例研究の成果の活用方法や比較軸の検討を通じて東南アジア諸国、更には西欧諸国や日本との間の比較森林政策論への接合を提示した。