抄録
本稿の目的は、都道府県林政における組織運営の実態を明らかにし、持続可能な体制構築に向けた課題を整理することである。結果、林業職の募集人数は拡大傾向にあったが、採用状況は都道府県によって異なった。人口が少なく、地方の団体(地方公共団体)ほど受験者数が少ない傾向にあり、採用者数が募集人数を満たさない団体がみられた。職員数の落ち込みは2012年以降緩和され、若年層の人数とシェアは回復したが、中堅層が減少し職位上位ポストの確保と昇進が課題となった。女性の林業職員数は急激に増加しており、組織内における女性の比率は今後も高まっていくものと思われる。持続可能な体制構築に向けては人材確保の強化、職位構成のゆがみ解消、女性職員のキャリア形成が重要であると考えられる。