抄録
我が国における林業経営の収益性低下を検証する目的で、宮崎県における45 年伐期のスギ人工林経営を想定し、1890年から2020年までの130年にわたる収益性の長期変化を評価した。造林賃金と立木価格の長期時系列データを作成した上で、各年に造林を開始した場合における、その時点での価格、賃金、造林補助制度で評価した内部収益率である期待収益率、その後45年間の施業実施時の価格等で評価した内部収益率である実現収益率の二つを計算した。その結果、林業経営の収益性は戦前から1950年代にかけては安定していたのに対し、1960年代以降は長期にわたって低下を続けたこと、特に立木価格の長期低落が大きく影響し、造林開始時の期待と大きく異なる投資結果が生じてきたことを示した。また、造林補助金が1990年代以降は収益率を3%程度押し上げ、正の収益性確保に大きく影響しているとの結果を得た。