林業経済
Online ISSN : 2189-6801
Print ISSN : 0388-8614
ISSN-L : 0388-8614
新潟県上越市不動地区における明治中期から昭和初期の民家(論文)(2022年度林業経済研究所研究奨励事業(小瀧奨励金)助成研究)
地方税制史と集落資料による建物台帳の分析
松村 菖 竹本 太郎
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 76 巻 6 号 p. 1-18

詳細
抄録
本稿の目的は、地方税制史と新潟県上越市不動地区の集落資料から、建物台帳の資料的特性を把握したうえで、当地区の明治から昭和初期の民家の様相を明らかにすることである。現存民家が減少するなか、2000年代以降、民家情報が詳細に記載された建物台帳が注目されている。建物台帳は府県税戸数割や府県税家屋税の課税標準として作成されたとされる。本稿では、地方税制史の整理から、府県税戸数割の課税標準は各市町村に委ねられていたことを確認した。1927(昭和2)年における府県税家屋税の全国的な導入後も、当地区の建物台帳では記載内容が依然として不統一であった。次に、当地区の居宅の平均建物面積、萱葺率等を明らかにした。さらに、集落資料と照合した結果、旧戸と新戸の居宅の特徴が、屋根材の違いと建物面積の大小にあった。また、明治期から昭和初期にかけて、8割近い居宅で大きな変化はなかった。戦後以降の民家との結び付け等は今後の課題である。
著者関連情報
© 2023 一般財団法人 林業経済研究所
前の記事 次の記事
feedback
Top