抄録
本研究では、全国に先駆けて導入された高知県の森林環境税を事例とし、2003~2020年度の20年近くに及ぶ展開過程において、導入時に設定された「地域の実情に即した政策の実現」や「参加型税制」という目的がどのように、どの程度実現されてきたのかを高知県の公表資料等をもとに検証した。その結果、「政策の実現」の指標である使途に関しては、追加性や応益性といった税の論理を前提に事業設計を行っていた第一期(2003~2007年度)に対して、第二期以降(2008年度~)では、県民意見への対応などが重視された結果、当初の税の論理が明確には読み取りにくくなった。また、県民参加に関しては、森林環境保全基金運営委員会等を通じた政策形成過程への参加が継続的に実施され、事業への県民意見の反映が確認されたほか、情報発信手段の多様化やアンケートの実施などにより幅広い県民を対象とする参加の基盤や仕組みがあり、一定の実効性がみられたことなどが明らかになった。