抄録
2001年の森林・林業基本法では、林業の持続的かつ健全な発展には木材産業等の健全な発展を図る必要があるとされた。2002年に「木材産業構造改革事業」が創設され、大規模な木材加工流通施設の整備に対する支援が行われている。しかし、立木価格と素材価格の低迷が続き、法の目的が達成されているとは言い難い。そこで、大規模化している製材工場の経営分析を県単位で行った。スギ素材生産量が多く、2002年以降に新設・整備された製材工場が所在する9県で製材工場の大規模化と製材用素材価格の関係を分析し、その結果に基づき「工業統計調査」を用いて秋田、栃木、宮崎の生産指標を分析した。統計数値上では付加価値労働生産性の結果から、大規模化が進む秋田、宮崎では全国平均値を下回り良好な経営状態にはなく、全国平均規模の栃木では全国平均を上回り経営状態が良いことが明らかになった。これらにより製材工場の大規模化は製材用素材価格の改善に結びついていないことを指摘した。