抄録
日本には世界の森林蓄積の1%、人工林面積の3.5%が存在するが、コストの高さゆえに利用水準や主伐に対する再造林面積の比は低い。ただ、数億年かけて蓄積された化石資源を数百年で使い切ろうとしている現在の人類社会は、いずれ次の局面に移行せざるを得ない。筆者は、一次エネルギー供給や石油供給と国産材供給量や木材自給率の間に強い負の相関があることを見いだした。このことから、日本林業はその内部の要因よりもむしろその外側の「大きな力」に振り回されてきたと解釈できる。ただ、来るべき次の局面に林業は不可欠で、そこでの森林の姿とその人間社会との関わりは現在のものとは大きく異なるものとなろう。そのような転機にあって、森林・林業問題に関心を持つ主体とともに、未来の森林を支える社会制度と技術を模索、構想することこそ、林業経済研究の重要な課題である。