抄録
現行の農林業センサスでは、回答主体の性格が多様であるため森林組合に関する分析が困難であった。本研究では、個票データと法人番号を活用することで施設森林組合を整理・抽出し、2010年代における施設森林組合の素材生産量、受託作業面積のシェアの変化と地域性を分析した。その結果、施設森林組合の約93%が捕捉可能となった。2010年代の施設森林組合の素材生産量は全国平均を大きく上回る増加を示し、とくに北陸・近畿・山陰など施設森林組合のシェアが高い地方で顕著であった。一方、育林作業では施設森林組合のシェアが低下する地方も確認できた。素材生産量、主伐、利用間伐、育林、施設森林組合の相対的役割の観点から類型化を行い、施設森林組合の果たす役割が地方によって大きく異なることを示した。回答主体の属性に着目した分析は農林業センサスの有効な活用方策であり、その他の統計調査との接続による分析の深化が必要であることを指摘した。