河川技術論文集
Online ISSN : 2436-6714
鉛-210年代測定法を適用した揖斐川水系津屋川の堆積速度の推定
田代 喬陀安 一郎
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 28 巻 p. 25-30

詳細
抄録

揖斐川水系津屋川に連なる池の堆積物を対象に鉛-210年代測定法を適用し,過去数十年間の堆積速度を推定した.Cs-137による年代測定値と照合したところ,堆積速度の変動を許容するCRS(Constant Rate of Supply)モデルの適用性が確認された.本モデルの結果として得られた最大0.49g /cm2 /yr の平均堆積速度は,日本のほとんどの湖での既往の観測結果よりも大きかった.さらに,堆積速度の経年変化を過去の水害記録と対比したところ,上流域の水害やその後の復旧工事に伴う土砂流出が反映されたものであることが確認された.以上の結果から,これまで主に止水域で適用されてきた鉛-210法(CRSモデル)は河床堆積物の動態分析にも使用でき,水系の土砂管理に資する知見を提供し得る可能性が示唆された.

著者関連情報
© 2022 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top