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2026 年32 巻 p.
0-
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
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中村 宙太郎, 大浪 裕之, 佐々木 昇平
2026 年32 巻 p.
1-6
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
本報告は,多摩川水系河川整備計画における環境定量目標の設定手法を整理し,その具体的検討プロセスを示したものである.環境目標を定量化することで,計画の到達点や進捗を明確化し,治水や維持管理を含む関係主体が一貫した方針で取り組むための基盤を構築することを目的とした.また,現状との比較から改善の必要性や優先度を判断できる指標を提供し,将来の整備方針を検討する材料とすることを意図した.検討は,評価原点の設定,経年変化データの整理,指標種選定,定量目標設定の4段階で構成する.2015年度を評価原点とし,6区分で生物データを整理した.各区分で絶滅危惧種や減少種を抽出し,市民団体の意見を踏まえて指標種を総合的に選定した.定量目標は,河口部と下流部~上流部で異なる推定手法を用い,創出可能面積を水面比高や空撮から推定した.さらに,土砂動態などの不確実性を考慮し,2つの出水シナリオに基づき維持される割合を評価し,30年後の目標値を設定した.
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土方 宏治, 原田 守啓
2026 年32 巻 p.
7-12
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
令和6年に多自然川づくり基本指針が改定され,河川のダイナミズム等を視野に入れた川づくりの実施が求められている.しかし,河川のダイナミズムに関する技術情報が,既存の技術資料においてどのような内容や具体性をもって記載されているかは体系的に整理されていない.本研究では,国土交通省のウェブサイトに掲載されている技術資料を対象に,河川のダイナミズムに関する記載内容に着目したスコーピングレビューを行い,技術情報の現状を考察し,今後の課題と対応を提案した.分析の結果,ダイナミズムを考慮した技術情報は多く確認された一方,時間スケールや定量的な情報は限定的であり,具体的な数値情報は一部の資料に集中していた.これは,全国的な一般性と具体的な数値情報を併せ持つ技術情報を提供することの難しさを示唆している.今後,多自然川づくりを実行していくには,全国的な技術資料の役割と限界を理解し,地域資料や事例,学術図書等と組み合わせて技術情報を補完する視点が重要である.
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周 月霞, 戸田 祐嗣, 濱千代 晃平
2026 年32 巻 p.
13-18
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
気候変動に伴う洪水外力の増大が懸念される中,治水面では河道樹林化による流下能力低下,環境面では多様なハビタットが攪乱により更新される「シフティング・モザイク」の創出・再生が課題となっている.本研究では,平面二次元流れ・河床変動解析(Nays2DH)に水域の瀬・淵判別と陸域の植生動態を組み込んだ連成モデルを構築した.その上で,陸域(自然裸地・草本・木本)と水域(瀬・淵・その他水域)を統合したハビタット区分に基づき,中長期的な変化を「植生繁茂」「樹林定着」「攪乱」「景観維持」「景観単調化」の5つのシフティング指標に分類した.長良川48.0k–55.0k区間を対象に,提案したシフティング指標の妥当性を検証した.さらに,ハビタットのシフティング頻度及び河道全体に占める面積割合を定量評価する枠組みを提案し,洪水時系列パターンの変化と河道掘削がシフティング・モザイクに及ぼす影響を分析した.本研究は,治水と環境の両立に向けた河道管理に資する知見を示すものである.
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宮脇 成生, 伊豆山 ありさ, 江口 健斗, 萱場 祐一
2026 年32 巻 p.
19-24
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
本研究は,河川環境の定量評価手法の確立を目指し,複数時期の植生図に基づく「群落クラスタ」の有効性を直轄管理区間において検証するものである.既往の研究では1km程度の短い区間を対象として群落クラスタを構築したが,本研究ではより広範囲の荒川上流,小貝川,鬼怒川の直轄管理区間を対象とした.対象範囲を5m格子で区切り,河川水辺の国勢調査で作成された4時期の植生図を用い,この4時期の植物群落の出現順序の類似性に基づくクラスタリング手法を適用し,各河川における群落クラスタを構築した.解析の結果,いずれの河川でも直轄区間全域を対象として群落クラスタを構築できることが示された.同一の群落クラスタにおける植物群落の内訳から,開放水面,自然裸地のように洪水により高頻度で撹乱を受ける領域,氾濫原性の草地・樹林地のように冠水による影響を受ける領域,外来種が生育する領域等に区分できることがわかった.さらに,洪水の撹乱により一旦侵入した外来種が優占する植物群落が再度,在来種の優占する植物群落に置き換わっている領域を抽出した群落クラスタも判別できた.
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萱場 祐一, 古川 愛望, 宮脇 成生
2026 年32 巻 p.
25-30
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
河川のダイナミズムは洪水攪乱により地形および植生が時間的に変化する現象であるが,その空間分布を評価する手法は十分に確立されていない.本研究では複列・多列砂州河道を対象として,複数時期の植生図に基づき群落クラスタを構築し,河床高および河床変動特性との関係を分析した.その結果,群落クラスタは低比高かつ河床変動量の大きい領域,高比高で変動量の小さい領域などに対応して分布し,河川のダイナミズムを高・中・低の撹乱領域として区分できる可能性が示された.さらに,群落クラスタの時系列的変化を把握することで,洪水攪乱の影響範囲の変化を評価できる可能性が示唆された.以上より,群落クラスタは河川のダイナミズムの視覚化および河川環境評価に有効な指標となり得ることが示された.
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原田 守啓
2026 年32 巻 p.
31-36
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
石礫床河川における河床の石は,河道の安定,付着藻類による一次生産,粗度層の形成,空隙の提供など,多面的な生態的機能と流路安定機能を有する重要な要素である.しかし河道掘削により石が除去されることで,これらの機能は大きく損なわれる可能性がある.本論文では石の機能を整理するとともに,河道掘削工事における石の残し方・戻し方の課題を整理した.さらに,河川環境の定量的目標設定への活用可能性を踏まえ,その達成に資する施工方法および工事発注のあり方を提案した.
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兵藤 誠, 伊東 茶宥, 中平 歩, 村山 泰明, 養田 勝則
2026 年32 巻 p.
37-42
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
近年,河川環境評価においては定量的手法の整備が進んでいるが,多くは生息場の状態把握を中心とした評価であり,洪水や土砂移動に伴う地形変化と生息場および生物応答の関係性については,必ずしも十分に整理されていない.本研究では,猪名川・藻川直轄管理区間を対象として,簡易魚道のモニタリング結果を活用し,アユを指標として地形変化・生息場・生物応答の関係性を統合的に評価する手法を検討した.遡上・蝟集調査,耳石分析,生息状況調査および地形変化の整理結果を統合し,生物応答(アユ個体数)と生息場条件(早瀬・淵の分布割合)に基づく評価マトリクスを構築した.その結果,魚道機能と生息場条件という異なる要因がアユの生息分布に影響を及ぼしていることが示唆され,両者を適切に評価することの重要性が示された.さらに,地形変化に伴う生息場構造の形成が生物応答に影響を及ぼすことを確認し,河川環境評価においては地形変化を考慮した統合的評価の必要性と有効性を示した.
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大塚 海斗, 森 遼太郎, 井原 高志, 齋藤 剛, 吉村 健, 鬼倉 徳雄
2026 年32 巻 p.
43-48
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
宮崎県耳川水系では,2005年台風14号の災害を契機に,河川管理者である宮崎県が2011年10月に耳川水系総合土砂管理計画を策定した.九州電力㈱は,本計画の中核的な事業としてダム通砂を実施しており,通砂によりダム下流の河床材料の粒度組成が変化し,生物の生息場の変化につながることが想定される.そのため,通砂の効果や影響を把握することは,今後の総合土砂管理を検討する上で有益である.既往研究では,河床粒度との関係性が深い種としてカマツカ及びボウズハゼを対象に,通砂前の現地調査データから出現予測モデルを構築し,通砂後の両種の出現ポテンシャルの変化を推定している.本研究では,通砂後の現地調査データにより予測モデルの精度検証を行い,既往予測と実測データを比較することで,本予測手法の有効性を検証するとともに,通砂による魚類への効果や影響を推定した.その結果,本予測手法は通砂効果等の事前予測に有効であることが示され,通砂がダム下流の砂分増加及びカマツカの生息場創出に寄与している可能性が示唆された.
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花岡 拓身, 赤松 良久
2026 年32 巻 p.
49-54
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
江の川ではアユの産卵場造成が行われているが,ダム下流の土砂供給が制限された環境下では,人為的な河床の耕耘は河床材料の粗粒化を促進させることが懸念される.本報告では,江の川の主要なアユの産卵場を対象に,置き土投入の事前検討から検討結果に基づいて施工された置き土の流出状況の把握までを一貫して行った.事前検討では,複数の置き土配置と産卵場直上への投入が産卵環境の改善に効果的であると推定された.実際に投入された置き土は,計画量全量が流出しており,小規模出水時には,アユの産卵に適した40 mm 以下の土砂を供給可能と考えられた.一方で,規模が大きい出水では,堆積した土砂のほとんどは流出してしまうことが確認された.ただし,依然として,置き土が有る場合には40 mm 以下の土砂の割合が比較的高くなっており,置き土投入は産卵場の改善に寄与する可能性が示された.
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花本 泰樹, 花岡 拓身, 宮園 誠二, 滝山 路人, 中尾 遼平, 赤松 良久
2026 年32 巻 p.
55-60
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
アユは,河川生態系を代表する水産有用種であり,その生息分布を流域スケールで把握することは,河川の維持管理およびアユ資源管理の観点から重要な課題である.しかし,流域スケールにおいてアユの生息分布を解析した例は限られている.そこで,本研究では,環境DNA濃度および環境DNAフラックスを用いて,環境要因との複雑な関係を深層学習によりモデル化した.また,SHAP分析を導入して各環境要因の予測値への影響度を評価した.その結果,深層学習モデルは,アユの季節的な移動を捉えることができ,GLMと比較して予測精度が向上した.また,深層学習を用いることにより,ポテンシャルマップの低精度区間が改善された.以上より,本手法は高津川流域におけるアユの重点的な保全・整備区間の特定や資源管理などの効率化に有用である可能性が示された.
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小森田 智大, 田井 明, 木庭 博, 飯田 慎一郎, 尾崎 竜也, 林 莉紗, 乾 隆帝
2026 年32 巻 p.
61-66
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
本研究は,緑川本流と支流の御船川を対象に,アユの環境DNA濃度と炭素・窒素安定同位体比を用いて河川間におけるアユの環境DNA濃度差に及ぼす要因を評価した.環境DNA濃度は御船川で有意に高く,緑川の約1.9倍であった.一方,水温,流速,懸濁物濃度などの水質項目には河川間で有意差は認められなかった.また,付着藻類量や餌資源への寄与率も両河川で同程度であり,餌資源の量および利用様式は生息量の差を説明できなかった.これらの結果から,本研究で評価した水質および餌資源の範囲では,緑川本流と御船川におけるアユの環境DNA濃度差を説明する明確な要因は認められなかった.今後は,放流履歴,産卵場,河床材料,流量,河川の縦断連続性を含む複数の要因について,詳細に検証する必要がある.
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宮園 誠二, 中尾 遼平, 赤松 良久
2026 年32 巻 p.
67-72
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
河道内氾濫原は,様々な生態的機能を有することが報告されており,河川生態系の保全を考えるうえで,河道内氾濫原の保全・修復は極めて重要となる.そのためには,河道内氾濫原における環境健全度を評価し,保全・修復する区間を把握することが必要になる.本研究では,大規模河川の河道内氾濫原に存在する氾濫原プールを対象とし,環境DNA分析による魚類の環境DNA濃度を基に環境健全度(様々な魚類が生息可能な河川環境の多様度)を評価することを目的とした.結果として,生物的指数のレーダーチャートから環境DNA定量メタバーコーディングに基づく生物的指数が氾濫原プールと本流の環境特性の違いを反映していることが示された.さらに,氾濫原プール間の環境健全度スコアを比較した結果,氾濫原プール内の護岸化が進んでいる地点で環境健全度スコアが相対的に低く,自然度の高い氾濫原プールよりも環境健全度が低いことが示唆された.これらの結果から,環境DNAを用いて河道内氾濫原の環境評価が可能になることが示された.
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山﨑 陽生, 大中 臨, 宮園 誠二, 赤松 良久
2026 年32 巻 p.
73-78
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
近年,治水と河川環境の調和の実現に向けて,「生物の生息・生育・繁殖の場」に関する定量的な目標設定が求められている.魚類の生息場評価における従来手法であるPHABSIMは,内水面漁業の最重要種であるアユを対象とした生息場評価に広く適用され,一定の有効性が示されている.しかしながら,実際の生息分布と有意な相関が認められない事例もあり,生息適地評価手法の高度化が求められている.そこで本研究では,山口県佐波川下流域を対象に環境DNA分析を実施し,PHABSIMの精度検証および,一般化線形モデル(GLM)を用いた新たな生息場予測モデルの開発に向けた基礎的検討を行った.その結果,流速,水深を用いたPHABSIMによる評価がアユの生物量を一定程度予測可能であることが確認されたものの,水理特性以外のリーチスケールにおける環境要因を考慮した一般化線形モデル(GLM)を用いた生息場予測モデルの方が高精度であることが明らかとなった.これにより,生息場適地評価の精度向上には,局所的な水理特性のみならず,リーチスケールの環境要因を組み込むことの重要性が示された.
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大石 銀司, 森 照貴
2026 年32 巻 p.
79-84
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
本研究では,河川における水面ポリゴンに対する数学的モルフォロジー処理を用いて,主流路外水域(off-channel habitat)を機械的に検出する手法を検討した.収縮・膨張率r≧0.2とすることで,河川水辺の国勢調査のワンド・たまりとの重複率は概ね80 %を超え,定量的評価手法として有効性が示された.本手法は,客観的かつ再現性の高い方法であり,汎用的なGIS環境で適用可能であることから,河川間比較や時系列解析,自然再生候補地の抽出への活用が期待される.一方で,適切な収縮・膨張率rの設定は今後の課題である.また,水理条件や生物の生息状況に関する情報と組み合わせた検討も重要である.
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山本 一輝, 大中 臨, 小山 彰彦, 伊豫岡 宏樹, 赤松 良久, 乾 隆帝
2026 年32 巻 p.
85-90
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
本研究では,環境指標として有効であるとされるハゼ科魚類を対象とし,UAV空撮画像を用いた画像解析による各種の分布予測の手法構築および画像枚数や解像度による予測精度の違いを明らかにすることを試みた.解析の結果,対象種の識別率が0.9以上は20%,0.8以上0.9未満は38%,0.7以上0.8未満は33%,0.7未満は10%で,識別率0.7以上が90%であり,高精度で分布予測が可能であった.また,画像枚数が多いほど識別率の平均値は上昇(0.048-0.113)し,2 mおよび4 mの画像サイズでは解析精度が安定した.また,対象種によって違いはあるものの,5mm/pixの解像度で最も識別率が高くなる傾向がみられた.以上のことから,本手法を用いることで潮間帯全域のハゼ科魚類の分布が予測可能になり,汽水域の保全・管理にとって必要不可欠な河川環境情報図の改良および更新に貢献できる可能性が示された.
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横田 和弥, 池田 幸資, 布川 雅典
2026 年32 巻 p.
91-96
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
北海道の真駒内川では,河床低下に伴い形成された落差により,サケ科魚類の遡上が阻害されている.本研究は,恒久的な構造物改修までの暫定的対策として,迅速かつ低コストで設置可能な布式簡易魚道を実河川に適用し,その有効性を定量的に評価することを目的とした.令和5年9月から11月にかけて布式簡易魚道を設置し,遡上魚数自動計測装置(サケカウンター)およびタイムラプス撮影により遡上数を明らかにした.その結果,映像により確定できた遡上数はサケ133個体,サクラマス32個体であった.また,落差工上流側において実施された産卵床調査結果においてサケの産卵床が32床確認され,遡上経路の確保が上流域利用に寄与していることが示された.一方で,洪水時の流亡リスクや夜間あるいは濁水時の遡上魚種判別などの課題も明らかとなった.布式簡易魚道は,急流河川における緊急的・暫定的な遡上対策として,社会実装可能性を有する手法である.
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鬼束 幸樹, 吉田 瑞矢, 藤田 凌安, 西原 智世
2026 年32 巻 p.
97-102
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
我が国の既設魚道には,隔壁に潜孔を有するものが存在する.潜孔の鉛直あるいは横断配置が魚類の遡上率に影響を及ぼすことが実験的に解明されている.ただし,ほぼ全ての既往研究では潜孔形状が固定されており,潜孔形状の変化が遡上率に及ぼす影響は未解明である.「魚がのぼりやすい川づくりの手引き」においても,潜孔形状の推奨値は未記載である.本研究では階段式魚道において,潜孔幅を潜孔高で除した潜孔アスペクト比を0.5,1,2および4の4通り,越流水深を0.05,0.10,0.15および0.20 mの4通りにそれぞれ変化させ,カワムツの遡上状況を調査した.その結果,潜孔アスペクト比の増加に伴い遡上率が低下した.潜孔アスペクト比が増加すると潜孔の横断幅が拡大するため,潜孔通過後のプール内高流速域が拡幅する.すると,カワムツの休息場所となる低流速域が減少し,疲労回復が困難となるために遡上欲が減退する.以上よりカワムツについては,遡上に適した潜孔アスペクト比は0.5~1との結果が得られた.
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鬼束 幸樹, 吉田 瑞矢, 鉄戸 基起
2026 年32 巻 p.
103-108
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
プールを有する魚道では,水面が固有振動するセイシュが発生することがある.セイシュ抑制方法として,隔壁中央部での非越流部の設置,あるいはプール底面でのカゴ詰め玉石工の増設が提案されてきた.ただし,これらの施工後で観察された遡上数向上の原因が,セイシュの抑制によるものか,幾何学形状あるいは底面粗度の変更によるものかは識別できない.本研究では直方体プールの半領域の水面変動を蓋で無くした状態で,残りの半領域の水面を0,30,60,90および120 mmの5通りに振幅させ,ニホンウナギ,ドジョウ,カワムツおよびオイカワの遊泳挙動に及ぼす影響を調査した.その結果,水面振幅の増加に伴い供試魚は,セイシュの発生領域を忌避する傾向が顕著となった.これは,セイシュ発生領域では水の水平および鉛直の往復運動によって魚が定位し難くなるため,休息できずに疲労が蓄積したことが原因である.以上のことから,少なくとも本研究で対象とした4魚種については,セイシュを忌避することが解明された.
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木下 篤彦, 宮本 幸太, 道田 豊, 廣井 幸治, 土田 元気, 秋元 裕, 沖野 友祐, 池田 欣子, 藤本 真宗, 田村 恭平
2026 年32 巻 p.
109-114
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
大谷川では,釣り客による乱獲やブラウントラウトなどの外来種の増加等により,在来種のニッコウイワナの個体数が著しく減少している.その一方で,近年では,防災機能を確保しつつ環境にも配慮した対策が可能となってきており,個体数を増やすには千載一遇のチャンスである.本研究では,試行的にバーブ工を設置し,「ニッコウイワナに学ぶ会」と協力し,地域住民とその維持活動を行ったので報告する.
2025年5月に約290mの区間でバーブ工を設置した.先端及び根元には直径1m以上の巨礫を用い,それ以外は,0.5~1m程度の巨礫を配置した.設置後は,魚の生息場所となる淵ができるように,巨礫間の空隙を石礫や草で埋めた.これらの維持活動は,地域住民と行い,河川環境への関心が高まるよう工夫した.
バーブ工の巨石の下部に形成された空隙にニッコウイワナが確認され,空隙がニッコウイワナの生息場所として機能していることが分かった.地域住民との維持活動は,アンケート結果からも,ニッコウイワナの生息環境などの環境問題を知る良いきっかけとなったことが分かった.
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唐沢 和輝, 厳島 怜, 佐藤 辰郎, 指村 奈穂子, 大槻 順朗
2026 年32 巻 p.
115-120
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
気候変動と生物多様性の損失の双方の課題解決にはNature-based Solutions (NbS)を実現する河川管理手法の確立が必要である.そのためには対象地域の潜在的な環境構造と人為的な影響がない状態の生態系に立脚する環境目標を設定することが重要である.本研究では河道掘削が進行する扇状地河川を対象に,この領域に特徴的な河床形態である礫列に着目した環境目標を検討した.河川環境の階層性を考慮したモデリングを用いて,流域の特徴量に基づいた河川ごとに保全されるべき礫列密度を定量的に明らかにした.さらに,魚類調査結果に基づいて礫列保全の生態学的効果を評価した結果,環境目標となる礫列の個数密度を再生した場合には,指標種であるカジカの個体数が2倍程度に増加することが示された.
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中尾 遼平, 中村 桃子, 花岡 拓身, 赤松 良久
2026 年32 巻 p.
121-126
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
生物の生息・分布情報は,生息域における生物多様性の基盤となる情報であり,生態系の変化や回復過程,健全性の評価において重要となる.水生昆虫類は河川環境の変化や人為的な影響に敏感であることから,重要な指標種のひとつとなることが知られる.本研究では,水生昆虫類の多様性評価における環境DNA 分析の基礎的検討を目的として,中国地方の一級水系4 河川を対象とした環境DNA 調査および河川水辺の国勢調査 (水国調査)の過去記録との比較を行った.本研究では,28 地点67 サンプルから環境DNA分析・水国調査あわせて7 目65 科324 種群の水生昆虫類が確認された.環境DNA 分析の特徴として,ハエ目(特にユスリカ科)およびトビケラ目の検出率が水国調査に比べて低かったが,カゲロウ目,トンボ目は水国調査よりも検出種数が多くなっていた.本研究の結果から,河川の水生昆虫類のモニタリングにおける環境DNA 分析の有効性を示せた一方で,今後の技術的な改善を要する分類群も含まれていた.
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秋田 麗子, 三好 文, 西口 亮太, 田方 俊輔
2026 年32 巻 p.
127-132
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
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フリー
河川環境管理シートは,河川環境の良否を得点化し,分かりやすく示す優れたツールであるが,物理的な解釈が難しいため,活用の幅が限られることが課題である.本稿では,モデル河川における環境評価と水理量との関係性を統計的に分析した.データセットを工夫することにより,2つの統計解析により,水理量との概略的な関係性を見出すことができ,河道設計などの場面で活用できる可能性を確認した.
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竹内 洋介, 笠原 隆祐, 原田 泰行, 関谷 明, 加藤 翔吾
2026 年32 巻 p.
133-138
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
宮中取水ダムでは,小型魚を対象とした全断面越流タイプの階段式魚道を設置しているが,この魚道は上流部に弯曲部を有し,かつ延長が約114mと長いため,魚道下流部において顕著な水面変動が発生した.このため現在,「カゴ詰め玉石工」の暫定設置を行い,水面変動を抑制させている1).しかし,中規模出水の度に魚道下流部で土砂が堆積し,復旧作業が課題となっている.本報告は,弯曲部を有する階段式魚道において水面変動抑制効果を有し,かつメンテナンスも容易となる対策の提案を行うことを目的とした.
本検討では,縮尺1/4の模型で現地を再現し,水理模型実験により水面変動の特性を調査した上で対策案を設定し,水面変動抑制効果を検証した.その結果,水面変動の発生要因が弯曲部であり,下流に伝搬するに従い共振,増幅すること,最下流プールの水面変動幅が約1mとなることを明らかにした.さらに,この特性を踏まえ,下流プールの水面変動幅を0.1m以下まで低減可能な水面変動抑制対策2タイプを提案した.
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中村 圭吾, 鈴木 敏弘, 早坂 裕幸
2026 年32 巻 p.
139-144
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
本稿は,日本の流域におけるネイチャークレジット(NC)制度のあり方について,土地利用の実態と変遷を踏まえて検討したものである.近年,河川分野では河川環境の定量目標の導入によりネイチャーポジティブな川づくりが進展しているが,災害対策との両立の観点から,流域全体でのネットゲインの確保のために生物多様性クレジット等のNCの活用が議論となる可能性がある.そこで,国内の土地利用データを基に,クレジットの需要側(宅地開発等)と供給側(農地・耕作放棄地,自然共生サイト,河川等)を整理し,市場構造を推定した.その上で,河川におけるクレジット創出の評価単位として河川生物多様性ユニット(RBU)の考え方を提案し,流域単位での補償・貢献制度への展開可能性を論じた.さらに,水質・洪水緩和等を含む多様なNCへの拡張の方向性を示し,日本に適した制度設計の要点を提示した.
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江口 健斗, 宮脇 成生, 菅野 一輝, 横山 良太, 高木 真也, 乾 隆帝, 鬼倉 徳雄, 中尾 遼平, 赤松 良久
2026 年32 巻 p.
145-150
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
河川における治水と生態系保全の両立には,流域スケールでの生物多様性の定量的把握が不可欠である.本研究では筑後川流域を対象に環境DNAによる広域魚類調査を行い,生息適地モデルにより生息ポテンシャルを推定した.41種中37種でAUCが0.7以上を示し,良好な精度が得られた.推定の結果,種数は中流域で最大となり,上流に向かって減少する傾向が確認された.また,筑後大堰および夜明ダム周辺で生息ポテンシャルの変化が見られたが,前者では過小評価の可能性,後者では地形および湛水域の影響が示唆された.機能群別では,氾濫原性魚類は中流域,河川性魚類は上流で高いなど異なる空間パターンが認められた.下流域では調査点の偏りによる過小評価の可能性は残るものの,本研究で得られた生息ポテンシャルマップは河川環境管理や保全計画に有用な基盤情報となる.
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田中 孝幸, 鈴木 宏幸, 柞磨 佑紀
2026 年32 巻 p.
151-156
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
近年,河川における水辺空間の利活用を促進する取り組みが全国的に進められている.水辺空間の整備効果を適切に評価し,整備の優先順位や内容を検討するためには,水辺利用者数への影響を定量的に把握することが重要な課題となっている.本研究では,水辺利用の将来予測に資することを目的として,河川水辺の国勢調査における川の通信簿調査箇所を対象に,利用者数データを順位付きカテゴリ変数として整理し, Random Forest を用いた機械学習モデルの構築と,その解釈に基づく影響要因分析を行った.その結果,順序カテゴリの一致度を評価する指標であるQuadratic Weighted Kappa が0.68となり,比較的高い予測精度を有するモデルを構築できた.また,構築したモデルに対して Partial Dependence Plot を用いた分析を行い,各説明変数が利用者数順位に与える影響度合いを可視化した.その結果,整備内容や空間の質的評価が利用水準に与える影響を相互に比較可能な形で定量化できる可能性が示された.
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吉田 勢, 加藤 康充, 田中 祐太, 萱場 祐一
2026 年32 巻 p.
157-162
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
本検討では,今後,気候変動対応により増加すると考えられる大規模河道掘削に向けて,過去に実施された河道掘削事例の分析により,掘削のインパクト・レスポンスを類型化し,掘削に際して留意すべき事項等の明確化を図った.河道の横断方向の領域区分と掘削形態のパターンと主な影響(直接的改変)が生じる領域の類型化を行うとともに,定期横断測量と河川水辺の国勢調査(植生調査)の結果を基に,掘削前後の地形と植生の経年変化の傾向を分析した.掘削後の各領域の河道レスポンス(領域区分変化,植生及び地形)について,特徴的な変化傾向や掘削に際して留意すべき事項をとりまとめた.
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居波 智也, 松井 雅義, 小池 祥平, 松本 健作, Mahapatra Kedarnath, 浅見 佳世, 馬場 美也子
2026 年32 巻 p.
163-168
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
静岡県の麻機遊水地第3工区では,特定外来生物ナガエツルノゲイトウの繁茂が確認されており,生態系への影響に加えて排水性低下による治水上のリスクが懸念されている.そのため,本種の駆除を検討する必要があるが,当該地は沼地が多く,地上からの踏査による生育状況の把握は困難である.本研究では,UAVを用いて本種の生育場所を空中から特定するとともに,これまで定量化されてこなかった成長量を把握することを目的とした.GNSS搭載UAVにより撮影した画像を解析した結果,第3工区には本種の生育地が14か所存在することが判明し,調査時間は8 min/haと効率的であった.また背丈の高い植生の存在地点や沼地でも本種を確認でき,本手法の有効性が示された.さらに定期撮影による比較から,本種が生育する面積は5月から6月にかけては1.3倍,5月から9月にかけては2.7倍増加し,冬期には成長が減退することが確認された.これらの結果は,駆除量と成長量の関係を踏まえた抑制計画の策定に有用な指標となる.
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河口 敏也, 武隈 圭祐, 手計 太一
2026 年32 巻 p.
169-174
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
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フリー
本研究では,合流式下水道が整備された妙正寺川におけるCSOの発生状況およびCSO流出特性を明らかにすることを目的とし,現地観測および解析を行った.タイムラプスカメラを用いて雨水吐口からのCSO流出状況を観測し,降雨特性とCSO流出量の関係を分析した結果,CSO発生および流出量の時間変動は,短時間積算雨量により一定程度説明できる可能性が示された.特に30分程度の積算時間が最も高い相関を示し,流域内の貯留および流下遅れの影響を反映していると考えられる.また,観測データに基づきCSO発生閾値を算出し,設計条件から求めた閾値と比較した結果,両者は概ね一致した.このことから,詳細な設計条件が得られない場合にも,降雨観測データから近似的に推定できる可能性が示された.さらに,二段タンクモデルを構築し,CSO流出の再現計算を行った結果,流出発生時刻およびピーク時刻について一定の再現性を確認した.本研究の結果は,限られたデータ環境下におけるCSO流出評価および下水道計画への応用に基礎的知見を提供するものである.
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坂本 愛実, 中嶋 杏柚, 安田 肇, 瀧 健太郎
2026 年32 巻 p.
175-180
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
京都府大手川では,親水施設としてワンドが整備されたものの経年的な土砂堆積により覆没し機能不全となっていた.本研究では,人工ワンドを持続的に保全していく方策を,河床変動解析を連動させた小さな自然再生の取り組みとして検討,実施した.佐賀県嘉瀬川にある水システム・石井樋に含まれる「象の鼻・天狗の鼻」構造をワンド導水路に取り入れ,下流側から河川水をワンドに流入させ,併せて堰上げと土砂堆積を調整する水制工を設置した.加えて,周辺の植生回復を促進することで,ワンド・導水路付近の土砂堆積を回避でき年間を通じて保全された.草本植生による抵抗を考慮した河床変動解析からも,平均年最大流量程度の出水ではワンドが埋没しないことが確認された.河床変動解析がワンド保全に向けた試行錯誤の助けとなった.解析技術による「効果の可視化」と,生態系の回復などの「効果の発現」により,担い手の「小さな自然再生」に対するモチベーションが維持された.
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永野 雄一, 織田 幸伸
2026 年32 巻 p.
181-186
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
有限体積法によって双曲型偏微分方程式を解く際に,非物理的な振動を抑制する高次精度再構成法としてWENO法やMP法などが広く用いられているが計算コストが課題となっている.近年,これらに代わる手法として圧縮性オイラー方程式に対して圧力項へ流速勾配の値に応じて正則化項を加えるIGR(Information Geometric Regularization)が提案されている.しかし,双曲型偏微分方程式である浅水流方程式にIGRを適用して評価した例は見当たらない.本研究では,IGRを考慮した浅水流方程式を有限体積法により解き,1次元と2次元のベンチマーク流れに対して,WENO法等との比較を行った.その結果,膨張波付近で非物理的な負の流速に伴う水深の増大が見られたものの,衝撃波様の段波面等では,WENO法等より低計算コストで,水面のシャープさを保ちながら数値振動を抑制できることが示唆された.
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森川 裕基, 廣次 義崇, 吉武 央気, 内田 龍彦, 松尾 大地, 住谷 喜信, 原田 大輔
2026 年32 巻 p.
187-192
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
計算負荷が高く,計算に時間を要する詳細な流況計算に対して,平均成分加速法により計算時間の短縮の可能性が示されている.本研究では,平均成分加速法( ACA 法)を河道計画や河道設計,災害復旧等の実務で活用するための基礎的知見を得ることを目的に,加速係数の違いが水位や流速の解析結果に与える影響を詳細把握し,その傾向を分析した.具体的には,実河川に適用し,計算時間の短縮に寄与する計算条件,加速係数に応じた計算水位や流速分布の誤差傾向を調べた.
流量,断面平均水深,断面平均流速等の縦断分布を分析した結果,各水理量各断面で誤差率は異なり,加速なし計算と加速ありの 100 倍計算で水深や流速は最大 20 % 程度の乖離が生じた.検討目的に応じた解析必要精度を十分吟味した上で採用する加速係数を決定する必要があり,現時点では,粗度係数調整で設定した加速係数を汎用的に使うには注意が必要であることを把握した.
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佐藤 海輝, 浅見 和人, 福岡 捷二
2026 年32 巻 p.
193-198
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
超過洪水では低水路河岸侵食や堤防決壊などの河道被災が多く生じる.超過洪水は計画高水位以下の洪水より水位が高くなり,流れる流量も大きい.巨大なエネルギーを有して流下していることから,洪水時における時空間的なエネルギー分布を検討し,これと河道被災の関係について検討することが重要である.
本論文では千曲川と五十嵐川で生じた河岸侵食・堤体侵食等の河道被災を洪水流の持つ全エネルギー水頭の観点から分析し,被災原因について検討する.また,検討した結果を総合的に考え,洪水流の持つ全エネルギー水頭と河道被災長,エネルギー勾配の作用時間を用いた力積的な考えで被災を検討し,その工学的意味を考察した.
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相田 穂乃花, 平川 隆一, 大本 照憲
2026 年32 巻 p.
199-204
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
本研究は不変量解析に基づく不透過型水制群周辺の流れ特性の解明,および不変量解析によって作成された不変量マップの有効性を検討した.その結果,相対水制高が小さい場合,二方向のエネルギーが卓越するパンケーキ型構造と一方向のエネルギーが卓越する葉巻型構造が共存した状態となることがわかった.相対水制高が高い場合,上流側ではパンケーキ型構造と葉巻型構造を併せ持つ状態となる一方,下流側では葉巻型構造となり主流方向の変動が卓越する構造へと遷移することが明らかとなった.また,不変量マップを用いることで計測誤差や数値モデルの破綻を可視化できるため,データの品質向上のための基盤となり得ることが示唆された.
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松下 晃生, 吉武 央気, 内田 龍彦, 南 まさし, 廣次 義崇, 森川 裕基, 松尾 大地
2026 年32 巻 p.
205-210
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
洪水流解析の高速化手法である平均成分加速法(以下,ACA 法)は,実河川への適用および展開が期待される.本研究では,解析対象河川および洪水条件に応じた ACA 法の適用限界を事前に評価することを目的として,河道特性や洪水特性から加速係数の上限値を推定する枠組みを検討した.適用限界の分析指標として,横断面内の水深不均一性に着目した横断波速不均一指標と,解析区間長と洪水波長/加速係数の比である無次元計算区間長を提案した.単断面河川および網状流路河川を対象とした平面二次元洪水流解析により,提案指標と加速有り計算の誤差との関係を定量評価した.これらの結果から,粗度係数調整計算や河道設計における流況計算の実務解析において,ACA 法で適用可能な加速係数の上限を推定する考え方を示した.
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加藤 一夫, 濱木 道大, 旭 一岳, サムナー 圭希, 清水 康行
2026 年32 巻 p.
211-216
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
本研究は,浅水流方程式の特性理論に基づき,リーマン不変量を用いて上下流境界の流速と水位を物理的に整合した形で決定する新しい境界条件を提案する.浅水流方程式は双曲型方程式であり,境界では流入・流出する特性波の数に応じて与えるべき物理量が定まる.本手法では,内部セルから伝播するリーマン不変量と観測された境界水位を組み合わせることで,上流流速を一意的に算定できる.
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飯村 耕介, 掛谷 諄, 友野 直樹, 池田 裕一
2026 年32 巻 p.
217-222
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
令和元年東日本台風により栃木県内の13河川27か所において決壊や氾濫が生じた.特に蛇行の大きな中小河川においては,上流側の決壊に伴う氾濫流が河道に戻る地点や,そのすぐ対岸の堤防でも決壊が生じるなど,ひとつの河川の近い範囲で連鎖的に決壊や溢水が生じた.本論文では,氾濫戻り流れが生じるすぐ対岸側における堤防の決壊の進行に着目し,決壊幅の変化に応じて,氾濫流が堤内地から流入する地点から対岸側に向かう流況がどのように変化するのか水理模型実験により明らかにした.氾濫原からの戻り流れが河道に入ることで,対岸に流速の大きな領域が形成された一方,対岸側の決壊により,流れが再氾濫することで対岸に沿った蛇行河道内の流速は若干低下し,流速が大きくなる範囲も狭くなった.また,対岸決壊により河道から氾濫原へ再氾濫すると,河道内の高速流の向きが対岸堤防方向を向き,決壊部下流側の側壁端部に向かうように流れ,水衝部となって浸食を促す流れになることが分かった.
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後藤 岳久, 福岡 捷二, 児子 真也
2026 年32 巻 p.
223-228
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
河川における大洪水時の流れは浮遊砂を大量に含んでおり,浮遊砂の時空間変化は洪水中の河道縦横断形の変化,砂州の移動・変形等の大規模な河床変動を生じさせ,結果として洪水の流れを規定している.このため,大洪水時にあっては,掃流砂・浮遊砂の非平衡運動を力学的に表現出来る洪水流・河床変動解析法が必要である.本研究では,準三次元解析によって計算された流速場と平均的な乱流場を外力条件とし,掃流砂と浮遊砂のそれぞれについて粒子の運動方程式と連続式を解くことで掃流砂と浮遊砂を一体的に扱う準三次元洪水流・河床変動解析(Q3D-INEBS)を構築した.網状砂州と砂堆の重畳する斐伊川下流部に本解析法を適用し,洪水中の河床波の移動・変形過程,現地の河床変動状況を説明した.本研究によって,河川における流砂がもたらす多くの問題に対し,有力な解析法を提示することが出来た.
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坂上 輝, 松尾 大地, 井上 隆, 内田 龍彦
2026 年32 巻 p.
229-234
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
本研究は,洪水時に発生する河口砂州のフラッシュ現象および河口テラス形成過程を対象に,初期地形の不確実性を考慮した解析手法の構築を目的とする.河口域における地形変化は,洪水流と波浪それぞれによる地形変化が相互に作用する複雑な現象であり,河道の通水能力や河口閉塞,沿岸漂砂に大きな影響を及ぼす.洪水直前の河口域の地形は洪水時の流れと土砂輸送解析に強く影響するが,観測頻度や計測条件の制約から不明確である場合が多く,課題となっている.本研究では,洪水前の衛星画像と洪水後の深浅測量結果を組み合わせることで,洪水直前の初期河口地形の推定法を検討した.衛星画像から砂州の平面的輪郭を抽出し,これを洪水後地形に反映させることで初期砂州形状を再構成した.そして,海域地形については洪水後測量を基にしつつ,河口テラス部分の地形を周辺から均すこととした.
推定した初期地形を用いて準三次元洪水流および浮遊砂・掃流砂を考慮した河床変動解析を実施した結果,河口テラスの形成位置や規模が観測結果と概ね一致し,河口域の地形変化を再現できることを示した.
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大熊 広樹, 小川 直央, 河田 晃靖, 宮本 順司
2026 年32 巻 p.
235-240
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
ダム堆砂は貯水機能低下のみならず様々な環境問題を引き起こす.そのため各地にて河川下流へダム堆砂の土砂還元(置土)を促しているが,置土が流されず残留する問題が発生している.流されやすい土砂還元に適した置土の土質状態を検証するために,不飽和状態の置土の水理模型による侵食実験を実施した.置土模型の侵食による底面積の変化を画像解析により定量的に評価することで,細粒分(シルト含有率,粘土分含有率),含水比,乾燥密度の変化が置土の侵食性に及ぼす影響を検証した.実験の結果,置土の侵食されにくさは,粘土分含有率に最も強く影響され,シルト含有率はほとんど寄与しないことが得られた.さらに,乾燥密度が侵食のされにくさに影響を及ぼすが,その影響度合いは,粘土分に依存すること,締固めに用いる含水比の範囲では,置土の含水比が大きいほど侵食されにくくなることが得られた.得られた結果から適切な置土の土質や施工条件を考察した.今後は流砂挙動への影響を検証予定である.
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田方 俊輔, 秋田 麗子, 流川 遥平, 西脇 彩人, 高橋 正信
2026 年32 巻 p.
241-246
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
静岡県を流下する大井川流砂系における総合的な土砂管理の取り組みについて報告した.大井川流砂系では,令和2 年6 月に本川上流にある長島ダムより下流を対象(主として河道~河口~海岸域)とした大井川流砂系総合土砂管理計画【第一版】を策定し,現在,その改定にあたる第二版計画を検討している.第二版計画においては,土砂生産・流送領域からの土砂供給状況を把握することを目的として,光学衛星画像を用いた崩壊地の判読を実施した.その結果,流砂系内の崩壊地は,主要支川である寸又川流域に多く分布していることが明らかとなった.また,複数のダムにおける堆砂実績を基に,河道に流入する土砂量を見積もることで,より確からしい土砂の収支を表現できることを示した.
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高野 和成, 武藤 裕則, 桑原 正人, 張 浩, 田村 隆雄
2026 年32 巻 p.
247-252
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
近年,河道内の土砂供給量の減少に起因して,澪筋が固定化し,砂州の安定化・樹林化が進行するなど,河道二極化が顕在化している.本研究では,河道二極化を構成する要因の一つとして砂州の固定化に着目し,砂州地形の流動および攪乱を促すことを目的とする.そこで,環境負荷が小さく施工性に優れる日本の伝統工法である聖牛を対象として,流況攪乱を通じた地形応答および河床変動への影響を数値解析により検討した.まず,複雑な立体構造を有する聖牛の流体抗力特性を平面二次元モデルに反映可能とするため,iRICNays2DHのソースコードを改良し,聖牛部材の水深別投影面積に基づく抗力モデルを構築した.次に,水路実験結果との比較により,提案モデルが聖牛周辺に形成される流速低減域の位置・分布や流向変化,洗掘・堆積域の空間的区分といった主要な特徴を概ね再現可能であることを確認した.さらに,交互砂州を有する数値実験水路において聖牛の配置形態を変化させた解析を行い,配置形態が河床変動量のみならず,洗掘・堆積の空間的分布様式に大きく影響することを示した.
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森 遼太郎, 大塚 海斗, 吉村 健, 角 哲也
2026 年32 巻 p.
253-258
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
近年,土砂の連続性遮断に起因する問題に対して,ダム下流へ土砂を供給する「流砂環境再生」の重要性が高まっている.宮崎県の耳川水系では,中下流域に位置する3基のダムで,出水中に貯水池に流入する土砂をダム下流へ通過させる「ダム通砂」を実施している.ダム通砂の特性や効果を明らかにすることで,本運用が流砂環境再生のモデルケースとして寄与することが期待される.本稿では,環境モニタリング調査及び河床変動計算結果から,ダム通砂に伴う土砂動態の変化,特に下流流程における河床材料や河床形状の動的な変化を分析した.その結果,ダム通砂による土砂供給により河床材料が多様化し,「土砂波(Sediment wave)」として下流へ伝播していることが示された.
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桑原 正人, 蔭山 星, 吉武 央気, 大木 正美, 飛岡 啓之
2026 年32 巻 p.
259-264
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
本研究では,総合土砂管理や森林管理など流域治水対策に活用するため,モデル化が比較的簡易な分布型土砂流出モデルを開発した.流出モデルは分布型降雨流出モデル( RRI モデル)を,土砂移動モデルは非平衡河床変動モデルを採用した.RRI モデルで算定された流出量及び地勢勾配に応じて土砂移動形態(土石流・掃流状集合流動・掃流砂+浮遊砂)を判定し,それぞれの移動形態に応じた平衡土砂濃度及び土砂濃度を算定して,流量に乗じて土砂流出量とした.開発した分布型土砂流出モデルを青蓮寺ダム流域に適用し,流域内の不安定土砂層厚と斜面土砂発生量を仮定して 13 年間の再現計算を行い,ダムに流入する流量及び土砂量・質( wash-load +砂,砂礫),さらに流域内の斜面変化の妥当性を確認した.
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関 翔平, 安田 浩保
2026 年32 巻 p.
265-270
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
砂礫河川の維持管理にあたっては,洪水の規模および継続時間に応じて変化する砂州波高を適切に予測することが重要である.本研究では,非線形安定解析に基づく砂州波高の長期予測手法の妥当性と適用限界について詳細に検討した.信濃川中流域に位置する二つの河道区間を対象に解析を行い,定期横断測量で得られた実測値と予測値の時系列を比較した.その結果,Landau 方程式の各係数に補正値を導入することで,砂州波高の長期的な変化の再現性が改善されることが示された.一方,本手法の推定精度は解析に用いる流砂量式に強く依存し,この点が適用上の主要な制約であることを明らかにした.実務への活用にあたっては,各河道の特性に適合した流砂量式を選定もしくは構築することが重要となる.本手法は,気候変動による長期的な影響も考慮した河道計画および管理の検討に資する知見を与えうる.
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太田 一行, 小林 大祐, 佐藤 隆宏
2026 年32 巻 p.
271-276
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
水力発電所の多くは,貯水池または水路で堆砂問題を抱えている.堆砂対策の検討を支援するため,河川と利水設備の土砂動態を解析し,土砂対策の効果を総合的に評価できるGUI(Graphic User Interface)付き土砂動態解析ツールを開発した.本解析ツールの特徴は,河床変動解析と流砂分派計算で構成され,ダム堰および利水設備での長期・広域の土砂動態を評価することができ,河床変動解析に精通しない技術者でも簡便に扱えるよう前処理・後処理を含めて汎用化した点である.本稿では解析手法とGUIの概要を紹介した後,河川・利水設備の総合的な土砂動態評価についてのケーススタディを行い,本解析ツールの有用性を示す.また,留意点と今後の展望についても整理する.
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小橋 力也, 田端 幸輔, 松井 大生, 小嶋 宝, 瀬﨑 智之
2026 年32 巻 p.
277-282
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
我が国のセグメント1河川では,二極化が進行している箇所が多く見られ,河道管理上の課題となっているが,そのメカニズムは十分明らかにされていない.本稿では,二極化の現象理解を深めることを目的に,二極化進行プロセスに関する仮説を立てた上で,直轄河川で報告件数の多い土砂供給量の減少に伴う河床低下を起源とした二極化プロセスに着目し,現象が観察しやすい移動床水理模型実験を行い,仮説の検証,補強を行った.また,現地河川データより更なる仮説の検証を行った.検討の結果,河床低下,下刻卓越,低水路幅縮小からなる二極化ループが,多列・複列砂州から単列砂州へのモード減少を伴って強化されながら下流側に拡大していく様子が確認された.
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森本 晃樹, 恩田 千早, 角 哲也, 田中 賢治
2026 年32 巻 p.
283-288
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
持続可能な水力発電を実現するためには,貯水池土砂管理が重要な課題となっており,通砂運用の導入が一部の発電用ダムで進められている.通砂効果と発電への影響を考慮して通砂運用を高度化することは,「ダム再生」と「流砂環境再生」の観点から非常に重要な課題である.本論文では,3つの発電用ダムを対象とした河床変動数値解析を行い,放流水量の区分と通砂効率に着目して考察することにより,発電用ダムの通砂運用高度化手法の一般化を検討した.その結果,発電と通砂に使用する水量の配分を検討することによりダム地点の土砂流出特性を最大化することが,持続可能な水力発電と流砂環境再生を同時に実現する上で重要であることを示した.また,発電用ダムの通砂運用は流域総合水管理のうち「水利用×流域環境」の有効な取組みであり,通砂運用高度化の方向性を明確にした.
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木村 秀治, 後藤 佑樹, 松尾 香穂, 戸田 祐嗣
2026 年32 巻 p.
289-294
発行日: 2026年
公開日: 2026/09/30
ジャーナル
フリー
近年,災害の激甚化・頻発化や技術者不足が深刻化する中,重要インフラであるダムを継続的かつ適正に管理することは喫緊の課題である.特に急峻な地形を有する貯水池周辺のり面点検では,安全性と精度の両立が求められている.本報告では,中部ダム管理DX研究会が,小里川ダムを対象に自律飛行ドローンの実装を見据えた基盤技術の検証を行った結果を述べる.試験飛行では,貯水池のり面巡視を想定し,4種の飛行ルートと3種の撮影条件を設定し,撮影高度や飛行方向の違いが取得画像の視認性や判読性に与える影響を評価した.また,取得データ量を比較し,実運用時に必要となるデータ管理上の留意点を整理した.得られた知見は,貯水池のり面巡視における自律飛行ドローンの適用性を示すとともに,ダム管理DXの標準モデル(小里川モデル)構築に資する基礎的成果である.
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