抄録
消防法や災害対策基本法において各種訓練が義務化されている状況からも、防災における訓練
の重要性は明白である。消火器を用いた初期消火訓練は、代表的な防災訓練の1 つである。その
初期消火訓練において、消火器の操作法のみに焦点が当てられたものも見受けられる点を課題と
して着目した。本稿では、消火のエキスパートである現職消防職員へのアンケート調査を実施し、
安全性と実効性のある初期消火活動のために消火器操作の前後に必要となる行動内容を把握し、
その整理と教材化を試みた。あわせて、当該教材を用いて住民を対象に訓練を実施し、受講者の
訓練内容の定量的評価から、教材の検証を行った。これら一連の作業を通して、単なる資機材の
操作法の指導に終始しない、実効性の高い防災訓練の設計のあり方について筆者らの考えを述べ
る。