抄録
複合過去形の様々な用法は,動詞活用形の完了のアスペクト的意味と事行や副詞な
どの意味内容との相互作用によって生み出される。日本で作られた文法参考書は複合過
去形の本質的なアスペクト的意味を明示せずに,完了用法と過去用法を提示する傾向に
ある。完了用法の下位区分の説明には英語の現在完了の記述用語が使用されているが,
意味を産出する基盤となる発話作業については触れられず,雑多な説明用語の寄せ集め
の域を出ない。動詞時制形の意味内容の産出のメカニズムとそれに関わる発話の構成要
素の役割を組み入れることが,第二外国語としてのフランス語の時制形の教育には効果
的だろう。