大人数の授業では,レベルや目標がことなる学習者一人ひとりに合わせて発音指導することは難しい。そのため,授業内でも学習者が発音を自律的に学べるように導く必要がある。そこで,本研究は「グループ形式でペアワーク」という方法が,発音の自律的学習を促しうるのかを検証する。この方法は,リフレクションを促すために課題に参加しなくてもよい機会,すなわち不参加の機会をあえて組み込んだものである。フランス語初級クラスでの実践を録画記録し,相互行為分析をおこなった結果,学習者は不参加の機会を利用してリフレクションをおこなっていた。具体的には,他者のつまずきをきっかけに自分もつぶやく,他者の発話をきっかけにプリントを見返す,他者の発音をまねるという行為が観察された。この結果から,本研究はグループワークに不参加の機会を組み込むことが,発音のリフレクションを促す有効な手段であると主張する。