Revue japonaise de didactique du français
Online ISSN : 2433-1902
Print ISSN : 1880-5930
論文
D’une linguistique de la politesse vers une didactique du tutoiement « Quand est-ce qu’on doit dire tu ou vous en français ? »
Albéric DERIBLE
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 14 巻 1-2 号 p. 6-21

詳細
抄録

言語現象としての敬譲の分析は,多少とも戦略的な,あるいは標準化の働きのある認識論的位置づけにより特徴づけられ,またその分析が提供するモデルが,主体の意思に,あるいはその話し手のコミュニティを規定する社会文化的規範にどう立脚しているかに応じて特徴づけられている。本論は,日本におけるFLEの教師と学習者に向けて,フランス語の呼びかけの代名詞tuとvousの配置の組織図の分析を行うものであり,それは話し手におけるtuとvousの選択決定要因及び変数を明らかにすることを目的としている。

それらの形のいずれを用いるかは,話を交わす者同士を隔てうる垂直そして/あるいは水平の隔たりによるものであること,そしてその隔たりそれ自体が(個々人の年齢や社会的職業別活動といった)社会的変数の機能であること,検討されるやりとりの状況的枠組の形式によるものであることがわかるだろう。だが話し手にはいくぶんか操作の余地がある。それというのも,やりとりの「人間関係の背景」を構成するこれらの要因を考慮しながらも,ある場合においては,発話内的な力に応じて,すなわち話し手が表現しようとする発話行為に与えようとするインパクトに照らし合わせてみてある代名詞ではなくもう別の代名詞の使用を決めることができるからである。

著者関連情報
© 2019 日本フランス語教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top