2022 年 17 巻 1-2 号 p. 103-117
本研究は言語文化論の領域に属し,CALL教育システムの分野に位置づけられる。そしてフランス語のブレンデッド教育法,特に学部2年のフランス語を専門とはしない学生を対象とした教育計画についての報告である。この教育計画は言語習得の社会構築主義的アプローチに立脚しており,ブレンデッド形式のグローバル・シミュレーションと,自発的に参加している母語話者とのオンラインでの異文化交流を組み合わせたものだ。この教育法の背景と諸目標について説明した後,オンラインフォーラムによって具現化されたその教育法の非同期的な側面に注目しつつ,この教育法の仕組みの様々な特徴を紹介する。本稿が明らかにするのは,この仕組みが参加という点,さらには本物の交流という点で有意義な利益を生み出すものの,その可能性にも関わらず,母語話者の募集・参加方法に安定性が欠けているということである。さらに,Covid-19のパンデミックが(対面に代わってオンラインあるいはハイフレックスとなった)教育に大きな影響を与えたことにより,この仕組みのブレンデッド形式による最適な環境設定が今後検証されていくことが論じられている。