日本におけるナレッジ・マネジメント (Knowledge Management, KM) 論は組織内に帰属させるべき知識を顕在化させ、新たな知識を創造するという抽象的定義を具体化する段階で、情報処理のハードやソフトの各メーカーの営業戦略により、知識の管理ではなく、MIS以来続くデータ処理システムに変質・変容をさせられた側面がある。このことは雑誌記事に現れたナレッジ・マネジメント論にも影響し、アメリカの後追いで現れたナレッジ・マネジメント論がアメリカの状況を素直に受け入れず、情報技術や既製のシステム導入にこだわり、組織における知識創造という本来の目的を喪失し、国際的な標準にも必ずしも合致していない実態を明らかにしている。