2002 年 45 巻 p. 46-54
本稿はアメリカ連邦政府の取り組みを通じて「イノベーションとしての記録管理」を考察した。連邦政府は「電子政府」構築に対応した「記録管理のイノベーション」を触媒として、「情報資源管理」の名の下に組織改革・行政改革という「イノベーション」を進めようとしている。その一方で、連邦政府の現場では電子記録管理への取り組みが不十分であり、国立公文書館・記録管理局(NARA)は委託調査によって記録管理改善のためのモデルを提示している。こうした取り組みを概観しつつ、本稿では「イノベーションとしての記録管理」を実現するためのカギは「ビジョンの提示」「PR&マーケティング」「リーダーシップ」にあるのではないか、と結論づけた。