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個人档案に着目した中国のアーカイブ管理における現状と問題について
林 瓏
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ジャーナル オープンアクセス

2015 年 68 巻 p. 35-45

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抄録

本稿では中国の「個人档案」を中心に、個人档案に関わる法制度、運用の現状、問題点について概説する。「個人档案」は、中国の計画経済体制下において、個人の進学や就職、昇進などに利用され、中国国民の私生活にも関わる重要なものである。よって、本稿では個人档案の重要性、新卒者の個人档案・社員档案・流動人口の档案の「移交」・保存について、事例を挙げながらその詳細を示すこととする。まず、中国の行政区画に基づいた国家档案館の階層管理方式、各階層の档案組織の役割・職責について紹介する。次に、根拠法である「中国档案法」に基づいて、個人档案の概要を示す。その後、日本と中国の戸籍制度の違いを踏まえたうえで、中国国民の就業直後から作成される「人事档案」の管理について説明する。最後に、管理制度のわかりにくさやその不透明性、また、記入標準の不足などによって生じている問題点を指摘する。

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© 2015 記録管理学会
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