2020 年 8 巻 2 号 p. 91-99
中規模病院に勤務する看護師の放射線の知識に関する実態調査を行うとともに、今後の看護師に対する放射線教育の内容の充実に向けた示唆を得ることを目的とし、自記式質問紙調査を行った。看護師801名を対象とし、661名(回収率82.5%)から回答が得られた。放射線に関する知識では、「放射線被ばくによるヒトへの遺伝的影響」の正答率は2割以下、「妊娠中の被ばくによる胎児への影響」の正答率は1割以下であった。470名(85.9%)が放射線に関わる部門に従事したくないと回答し、540名(98.7%)が放射線看護に関する教育は必要であると回答した。中規模病院に勤務する看護師の多くは、自身の放射線に関する知識不足を認識しており、知識不足による不安が放射線関連部門への従事したくないと考える一因であると推察される。放射線関連業務に従事する際に不安を抱えることがないよう、日常の看護実践において必要な放射線の知識を身につけることができうる研修内容の検討が必要である。