論文ID: 24-002
眼の水晶体の等価線量限度が引き下げられた現在、職業被ばく管理の適正化が求められている。本研究では、実測に基づく放射線可視化のアプローチのひとつとして、単純X線撮影、コンピュータ断層撮影(computed tomography: CT)検査、画像下治療(interventional radiology: IVR)を対象とし、自作の鉛製ピンホールカメラによるファントム実験にて散乱X線の発生源を特定し、散乱X線に対する防護の最適化に資する知見を収集することを目的とした。患者ファントムに加え、X線管の可動絞りカバーや寝台、CT装置のマイラリング(ガントリ開口部の窓)といった装置の構成パーツからも無視できない散乱X線が発生していることが明らかとなった。医療スタッフの立ち位置や防護板の使用方法の改善といった、より適切な防護策の検討が望まれる。今後はピンホール画像の定量化やリアルタイム化に向けて取り組みたい。