根の研究
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ラッカセイにおける根系形成, 根粒形成と窒素固定能力との関係
田島 亮介
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2008 年 17 巻 1 号 p. 5-10

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抄録

マメ科作物として重要なラッカセイの窒素固定能力と根系形成および根粒分布が、どのように関係しているかについて検討した. まず, ラッカセイの根粒の形態学的な特徴を確認した上で, 個々の根粒のサイズと窒素固定能力との関係について調査した結果, 根粒の直径を測れば根粒の窒素固定能力を評価できることが明らかになった. 次に、圃場において根系形成と根粒分布の調査をおこなったところ, ラッカセイでは多くの根粒が1次側根から2次側根が分岐する部分に形成されることがわかった. これは他のマメ科作物とは異なるラッカセイ固有の特徴的な分布である. ラッカセイ品種の千葉半立とナカテユタカについて根粒分布と形成された根粒のサイズを経時的に詳細に調査したところ, 生育が進むに従って, 千葉半立では直径の大きい根粒が, ナカテユタカでは小さい根粒が、それぞれ増えていた. これは、千葉半立では生育初期に形成された根粒が大きくなっていたのに対して、ナカテユタカでは生育後半に多数の根粒が新しく形成されたためと考えられた. さらに, ラッカセイの根系形態を変化させる目的でラッカセイの主根の根端を切断したところ, 主根基部側から派生する1次側根が長くなり, それに伴って根粒分布も変化した. この実験結果から、根系を変化させれば窒素固定能力を制御できる可能性が示された.

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© 2008 根研究学会
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