近年,有機質肥料を用いた養液栽培が注目されているが,従来の並行複式無機化法は,前処理における肥料の 「徐添加」 に伴う手間の増大や,土壌由来微生物による硝化作用の不安定さが課題であった.本研究では,循環式セラミック濾過装置を用いた前処理の簡略化 (一括投与法) を検討し,その培養液を用いたトマトのロックウール栽培が生長,品質,および根系発達に与える影響を評価した.前処理試験の結果,標準濃度の一括投与における14日後の無機化率は81.9%に達し,従来の分割投与と同等の高い分解能力を示した.トマトの栽培試験では,第1および第2果房の果実新鮮重が,有機質肥料を用いた「硝化区」および「硝化+ミネラル区 (Ca,Mg,Fe補填)」で化学肥料を用いた対照区を有意に上回った.これは適切な窒素量管理の効果と考えられた.一方,有機質肥料にはカリウム (K) やリン (P) が不足しており,その影響で果実糖度が低下したほか,地下部乾物重も対照区に比べ約0.2〜0.4倍まで有意に減少した.以上のことから,循環式セラミック濾過材の利用により,前処理作業の簡略化と安定的な窒素供給が可能であることが示された.しかし,健全な根系発達や果実品質を維持するためには,窒素以外の必須元素 (特にKやP) を適切に補填する施肥管理の確立が今後の重要課題である.
フラットベッドスキャナを用いた根系形態解析は作物根系研究において重要であるが,代表的な商用ソフトウェアWinRHIZOは高価であることが普及の妨げとなっている.本研究では,スキャナ画像から総根長,根端数,根表面積,根平均直径および根の体積の5パラメータを自動測定するPythonスクリプトを作成し,WinRHIZO (2009b版) との比較で検証した.スクリプトは画像の平均輝度から染色の有無を自動判定し,処理パラメータを自動切替する設計とした.イネ (染色あり) とレタス (染色なし) の各8枚で補正係数を較正後,99枚 (染色なし50枚,染色あり49枚) でWinRHIZOとの一致度を評価した.総根長の相関係数は0.9998,全99枚が相対誤差±10%以内で,有意差は認められなかった (P>0.05).根表面積,根平均直径および根の体積の相関係数はそれぞれ0.9944,0.9587,0.9816で,いずれも有意差は認められなかった (P>0.05).根端数は相関係数0.9930と高く,プログラム値がWinRHIZOより平均4.4%多かった (P>0.01).すなわち,根端数を除く4項目でWinRHIZOと同等の値が得られた.本スクリプトは無料のクロスプラットフォームツールであり,99枚の画像を約25分で自動処理した.