抄録
アミノ酸の吸収・蓄積部位の検討を行うために,イネ幼植物に吸収時間と溶液の温度条件を変えて14C-アミノ酸(グルタミン,アラニン,バリン)を吸収させたオートラジオグラフィ像の解析を行った.氷冷した溶液からのアミノ酸吸収はほとんどみられなかったことから,根表面へのアミノ酸の吸着はわずかであると考えられた.溶液温度28°Cで吸収試験を行ったイネ幼植物の根のオートラジオグラフィ像は,各アミノ酸とも根端が明るく写し出されたため,アミノ酸の吸収はその種類によらず,根端で多いことが示唆された.しかし,根端以外から吸収したアミノ酸やアミノ酸から分解した14C の根端への移行や,根系が発達するグルタミン,アラニンより,発達を阻害したバリンの取り込み量が多かったことなどについては,今後更なる検討が必要である.