根の研究
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原著論文
キャベツの機械化一貫栽培体系における苗の移植深度が収量,結球部の傾きおよび根系分布へ及ぼす影響
山本 岳彦*松尾 健太郎山崎 篤
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2015 年 24 巻 1 号 p. 3-10

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抄録

農林水産省・復興庁予算の大型プロジェクト「食料生産地域再生のための先端技術展開事業(農業・農村型)」のなかで,新たに開発された収穫機を核とした加工・業務用キャベツの機械化一貫体系の実証研究が進められている.本試験では,機械収穫で問題とされる結球部の傾きを軽減する方策として,定植時にセル成型苗を深く移植する方法を検討し,キャベツ結球部の収量,傾き,および根系分布へ及ぼす影響を調べた.移植深さは浅植え(地表面から培土表面まで+4.0 mm),標準植え(-4.4 mm),および深植え(-22.6mm)とした.深植え区では,他の移植深さに比べ傾きの小さい結球が多く, 結球重および外葉重は同等であることから,深植え移植は結球部の傾き軽減策として有効だと考えられた.その原因として軸(地際から上の胚軸+結球部までの茎部)を調べたところ,深植え区では浅植え区に比べ相対的に重い,充実した軸を持つ株が多かった.また,株直下の根系は,どの区も表層10cm に密集しており,浅植え区・標準植え区では深さ0-5cm において,深植え区では深さ5-10cm において根長密度が高い傾向がみられた.特に, 深植え区の深さ5-10cm では,浅植え区に比べ細根(径0-0.2mm)及び太い根(径1-5mm)の根長密度が高かった.深植え区の軸の形態と浅い層における根系分布は,キャベツ結球部の傾き軽減に関与する可能性が考えられた.

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