抄録
ドライフォグ噴霧耕装置で‘紅ほっぺ’および‘さちのか’を栽培し,多収性イチゴである‘紅ほっぺ’の根の発育特性を一次根から発生する細根の本数,細根の伸長速度,呼吸速度および細根の内部形態から調査した.一次根1本あたりの細根の本数は,‘紅ほっぺ’が‘さちのか’に比べて多く,‘紅ほっぺ’は一次根の先端部だけでなく,中間および基部からも細根が多く発生する特性を示した.細根の直径や伸長速度は両品種間で有意な差はみられなかったが,発生10日目の細根において‘紅ほっぺ’の細根の呼吸速度が‘さちのか’のそれよりも早かった.さらに,‘紅ほっぺ’は根毛の発生数が‘さちのか’に比べて多い傾向を示した.以上の結果から,‘紅ほっぺ’は一次根1本あたりの細根数,特に基部から多く根が発生するため,株あたりの根系の表面積が大きくなり,出液速度が速くなると考えられた.