グライ土の水田転換畑におけるトウモロコシの根系および倒伏に対し,プラウ耕とロータリ耕が与える影響を比較検討した.第6葉期までにおいて-3.1 kPa以上の土壌水ポテンシャルの割合はロータリ耕よりプラウ耕で小さい傾向であり,排水性はロータリ耕に比べてプラウ耕で優れる傾向であった.土壌深さ5,10 cmの地温は両耕起法とも同程度で推移した.生育時期別の地上部乾物重および葉面積指数には耕起法による顕著な差はみられず,地上部の生育はロータリ耕とプラウ耕で同程度に推移した.根系について,生育時期別の根長密度および根重密度には耕起法による顕著な差は認められなかったが,乳熟期の土壌深さ0-5 cmの層において,根長および根長割合がロータリ耕よりプラウ耕で大きい傾向であり,根系の平均的な深さを示す根の深さ指数はロータリ耕よりプラウ耕で1.6 cm小さい傾向であった.引倒し力,稈長,着雌穂高,引倒し法評価値に耕起法による顕著な差はみられなかったが,台風18号から変わった温帯低気圧通過後においてプラウ耕の倒伏はロータリ耕より少なかった.以上の結果,グライ土の水田転換畑におけるトウモロコシ栽培において,プラウ耕はロータリ耕と比較して浅根化傾向を促し,倒伏を減少させたと考えられた.水田転換畑におけるプラウ耕は倒伏軽減効果が期待できる.