根の研究
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コムギ品種の種子根の伸長角度に関する研究の現状
小柳 敦史
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2026 年 35 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

2011年にイネで重力屈性により根の伸長角度を制御する遺伝子DRO1が発見されて以降,コムギでも根の伸長角度に関する研究が活発に行われるようになった.現時点では,コムギではDRO1のような強力な主働遺伝子は見つかっておらず,コムギの種子根の伸長角度は多くの染色体領域が関与する複雑な遺伝形質であると考えられている.コムギ品種の幼植物の種子根の伸長角度は圃場の生育の中後期の根の分布と密接な関係にあるとする報告がある一方,その関係は伸長角度の測定方法や圃場の栽培環境により一定ではないとする報告もある.種子根の伸長角度を測定する方法にはろ紙を用いる方法,寒天ゲルを用いる方法,クリアポット法,バスケット法などがあるが,その品種が生育の中後期に作る根系の形態を推測するためには,土を使うクリアポット法やバスケット法で伸長角度を測定することが望ましい.種子根の伸長角度が異なる3系統の交雑後代から,生育の後期に深い根系を作る系統と浅い根系を作る系統が作出されている.コムギ品種の幼植物の種子根の伸長角度と収量性との関係ははっきりしないが,過湿な水田圃場では浅根性の系統群が15%多収であり,長期不耕起圃場では浅根性のコムギが明らかに多収であった事例が報告されている.今後は栽培環境ごとに理想的な根系構造を明らかにし,それに応じて多くの遺伝子領域を集積して理想根系を持つコムギ品種を育成することが期待される.

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