2002 年 11 巻 4 号 p. 155-159
茶樹の木化根と根株の外部形態における品種系統間差異について, 遺伝資源を含む多様な系統, 農林品種登録された実用茶樹品種, 現在日本の茶園の約8割で栽培されている品種‘やぶきた’における個体間, 実生で育成された60年生茶樹の個体間, 成木と幼木, で比較検討した. 茶樹の木化根には, 本数・長さ・太さ・根表面の状態・屈曲の程度・分枝発生程度・キクイムシによるとみられる食害発生・腐朽の難易など多様な項目で大きな変異が認められた. 茶樹の根株においても, 巨大な根株を形成しやすい系統と形成しにくいものが認められた. さらに‘やぶきた’では同じ品種内の個体による変動がかなり大きいこと, 実生育成茶園でも個体間で多様な変異があること, 幼木にも成木の特徴の一部が現れることを明らかにした. これらの結果から養分吸収効率など重要な生理機能を改変する視点から根系の変異を記録・評価することの必要性を指摘した.