根の研究
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低硫酸根肥料を用いたトマトの養液土耕 (灌水同時施肥) 栽培で生じる硫黄欠乏はマルチ処理による根域環境の均一化により改善する
中野 明正上原 洋一
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2004 年 13 巻 1 号 p. 3-8

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抄録
日本の施設生産土壌では硫酸根 (硫酸イオン, SO42-) が集積している場合が多い. 近年, 施設生産で普及している養液土耕 (灌水同時施肥) 栽培で使用されている低硫酸根肥料は, このような日本の施設生産の土壌環境を改善するために開発された経緯がある. しかし, 根域が隔離された場合, 低硫酸根肥料の使用で葉緑素値が低下するという硫黄欠乏症状が認められた. これは, 隔離床栽培では植物への土壌からの硫黄の給源の範囲が限られるため, 硫黄欠乏が出やすくなったと考えられた. このような硫黄欠乏は, 養液土耕を含めたドリップ灌漑により生じる土壌中での不均一な塩類分布, すなわちドリップ周辺での塩類集積部位の形成により助長された. このときマルチ処理により硫黄欠乏が改善されたが, その理由としては, ドリップ周辺部位の含水率が高く, この部分の塩類濃度が低く保たれ, 根がここに存在した硫酸イオンを吸収できたためと推察された.
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