抄録
イネでは, オーキシン (2,4-D) による発根作用が亜鉛の添加によりさらに促進されるが, この作用が双子葉植物 (カボチャ) でも認められるか否かを検討した. カボチャでは, 根をカルス化させるオーキシン濃度はイネよりも低く0.025mgL-1であった. オーキシンとともに亜鉛を添加すると根のカルス化は抑制された. また, オーキシンのみで根重の増加とカルス化が同時に進行し, 亜鉛の添加によりカルス化を抑制しても根重が増えることはなかった. 以上のように, オーキシン誘導のカルス化を抑制する亜鉛の作用はカボチャにも認められた. しかし, オーキシン誘導の発根をさらに増加させるというイネで認められた亜鉛の作用は, カボチャでは認められなかった.