根の研究
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植物とアーバスキュラー菌根菌の共生戦略と生体防御
久保田 真弓
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2006 年 15 巻 3 号 p. 111-118

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抄録
森林の更新, 炭素循環, 環境浄化, 植物の種の多様性保存などの生態系の維持に菌根とよばれる植物と菌類の共生が大きく貢献している. アーバスキュラー菌根菌と植物の共生関係は, 植物が初めて陸上に進出した約4億年前に始まったと推定され, 菌根の中でもいちばん古い. アーバスキュラー菌根は陸上植物の約8割に形成されることから, 宿主特異性は殆どないものと考えられている. 様々な植物種に優占的に感染するには, 他の微生物との競合に打ち勝つ手段と植物との高い親和性が必要とされただろう. 親和性は植物が進化する上で行ってきた厳しいセレクションの結果である. 植物が生存する上で必要な機能を果たせる微生物のひとつとして菌根菌は選ばれてきた. 本稿では, 植物とアーバスキュラー菌根菌の共生に至る過程から植物の生体防御までの関わりを紹介する.
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